半兵衛

カムイ外伝の半兵衛のレビュー・感想・評価

カムイ外伝(2009年製作の映画)
2.1
盛り上がりどころが一切ないチャンバラ映画なんて始めて見たかも、抜け忍設定の主人公と彼らと仲良くなる人間の交流やら仲間の裏切りやら色々盛り上がる要素は散らばっているがすべて不完全燃焼で単なる飾りにしかなっておらず監督によるアクション演出も深作欣二や岡本喜八、宮崎駿の足元にも及ばないくらい冴えないのでローテンションのまま鑑賞してしまった。極めつけはラストの強敵との勝負、強敵にしては強さが微塵も感じられず単なるチンピラにしか見えないのもあれだしなんだあのカタルシスを感じさせない決着の付け方は。

それと松山ケンイチに小雪というアクション要素が微塵もない役者にチャンバラを任せているのも致命的かと。せめて悪人には殺陣の上手い役者を起用してほしかったけど…。

それでも後に『るろうに剣心』実写版で活躍する谷垣健治のアクションは工夫されていて見ごたえがあったのでプラス0.1に。監督は全く行かしていないけど。

ちなみに本作は崔洋一氏にとって最後の劇映画監督作品となったが、某雑誌でワースト1位に選ばれた内容もさることながらこの作品の撮影中監督がスタッフにパワハラ行為をはたらき問題になったことが監督業から遠ざかる一因となったらしい。自身は優秀な助監督だった崔監督には21世紀のスタッフはやる気のない無力な人間にしか見えなかったのかもしれない(それに加えて主役の怪我による撮影の遅延からのストレスもあったのかも)が、80年代の撮影現場のノリを引きずってしまった監督にも問題があるかと。それと『映画評論』で崔監督の追悼特集が組まれたとき、数年おきに交代するはずの映画監督協会の会長を20年以上務めたことについて批判的な文章が結構書かれていてなかなか毀誉褒貶の激しい人間性の持ち主だったのかもと思えた。

脚本に宮藤官九郎が参加しているのにそんなテイストが一切無いのが気になるが、やはり崔監督に「そんなもの俺の作品にはいらない」と切り捨てられたのだろうか。
半兵衛

半兵衛