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ジョイ・ラック・クラブのくりふのレビュー・感想・評価

ジョイ・ラック・クラブ(1993年製作の映画)
3.7
【Joy Luckは儚く】

先日『クレイジー・リッチ!』を見た流れでコチラも。レンタルで。

母国中国から“逃れ”アメリカに渡り、ようやく息をつけるようになった女性四人組と、その娘たちの苦い交流と、少しの解放。

原作小説の知名度はわかりませんが、1993年当時、殆どが中国系女性キャスト、母親世代出番多し…なアメリカ映画を成立させ、きちんとヒットさせたことは、今では驚異的にさえ思えますね。製作総指揮オリバー・ストーンの御威光でしょうか?

ウェイン・ワン監督作は『スラムダンス』と名画座で出会い拾い物!と嬉しくなって以降、見ていませんでしたが…本作は丁寧に紡がれて、いい仕事しとるなあ、とは思いました。

が、元々息苦しい物語で、こう二世代八人を詰め込まれると、ブレスレスでシンドイ。

今の感覚だと、四話程度のリミテッド・シリーズにした方が見易いし、より沁み通る物語にできる筈だと思います。

ジョイ・ラック・クラブとは、仲良し四人組が、幸を呼び込むため長年囲んできた麻雀会。が、一人が亡くなり、その娘が空いた席を埋めようとすると…という始まり。

で、この麻雀会をベースに回想してゆくのか思ったら…二度と出てこない。ああそうか、Joy Luckの意味を思えば、そこには戻って来られないよね…と見終えて納得してしまった。

母国でも、逃れて来た自由の国でも、差別など女性特有の問題に悩み続けるという、ほとんど我慢大会の物語で、今まで描かれる場がなかったからここでぎゅっと集め、カタログ化しちゃった感じですね。

特に、中国での扱いは本当にヒドイ。本作、あからさまなアメリカ讃歌ではありませんが、結果的にそう印象付けられます。狙ってる?(笑)

全体、愚痴っぽい仕上がり。この時代の限界を感じます。今ならもっと、女性側からの逆襲が描かれるでしょう。それが願望だとしても。

しかし、タムリン・トミタって美人だったのだなあ、と見惚れました。

<2021.9.22記>
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