垂直落下式サミング

モンスターネードの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

モンスターネード(2023年製作の映画)
3.0
サメとトルネードの合わせ技の『シャークネード』ってのがプチブレイクしたから、ネード残しで二匹目のドジョウ狙い系。
バミューダ・トライアングルを研究している科学者が、発生したトルネードによって先史の古代生物たちが巻き上げられていることを突き止める。トルネードは怪物たちを吐き出しながら上陸し、目の前に迫る!驚天動地のモンスターパニック作品。
優秀な研究者なのに変人扱いされる主人公が事態の深刻さを力説するのだけど、お偉いさんにはイマイチその危機感が伝わらないお決まりのパターンで楽しませてくれる。
それとは別に、FBIとインターポールの女捜査官が共謀し、麻薬組織の幹部をホテルで確保。コイツを護送しようとするのだが、竜巻による被害でホテルを出られなくなってしまうというおはなしも同時並走。
犯人逮捕が、運悪くモンスターネードの日だったからさあ大変。定番のサメのほか、タコ、カニ、ワニと、寿司ネタみてえなメンツが襲いかかってくる。
ストーリーがよくわからないし、誰が主人公なのかよくわからないし、当然ながらスターも出ていないので、誰が重要人物なのか曖昧なB級作品ならではの力場が発生している。この薄いメンツのなかで誰が生き残るのか予想をたてながらみると、わりに楽しめる。
女性スタッフが、女捜査官に拳銃を向けられたショックで心停止するのとか、どうみればいいのかわかんないし、ホテルの支配人が麻薬密売のおじさんを拷問するとき、「グアンタナモを思い出すぜ。」みたいなこと言うのも、無神経が過ぎる。
プテラノドンに食べられるおじさんも、「イラクで受けた拷問にくらべれば…。」みたいなことをわざわざ言う。いけすかないやつは、イラク戦争に従軍もしくは関与。登場人物に二度も主張させるってことは、脚本書いた人の特別な感情が乗っかった部分なのだろうな。確かにろくでもない戦争だったのは同意だけれど、安物映画を両手で鼻ほじりながら観てるこちらとしては、だからどうしたというハナシなんすわ。
モンスターたちは、まあこんなもんかなって感じの物理演算生命体でございやす。低予算なので、ジャケ写のようなド派手スペクタクルを期待するほうが間違い。すごく小規模だけど、ちっちゃいなかで頑張っていると思う。そんなでも、見せどころでは、虫が出てきたり、蛇が出てきたり、なかでも、壁を突き破ってドガーンとメガロドンの顔がめっちゃかわいくて最高でした。
物影からヒョコっと顔だけ出すワニも愛嬌は負けてない。手作りパペットっぽいかわいさ。階段でだらだらくっ喋ってるとき、女の背後からワニがっ!ぎょわっ!またダラダラ会話パートかぁ…と肩の力が抜けたところに、急に出てくるから超ビックリする。
ホテルのマットを汚しちゃいけないだろうから、流れる血もCGで再現。ワニに噛みつかれた女の身体から、とろみのある赤い液体がてろーんと。ここ、見所です。要チェック!