薬物使用で逮捕された歌手 大和遼。逮捕から2年後、彼の復活イベントを背景に、大和が属する依存症自助グループの面々を描く群像劇。ノーマークだったが、やたら評判が良いので池袋のレイトショーで観賞。
薬物依存、アルコール依存、ギャンブル依存、買い物依存、色々な依存が登場する。劇中のYouTuberも、「承認」依存として描いているのだろう。
自助グループのイベントに友人を呼べば、自分が依存症だと告白することになるというジレンマ。
「キャンセル・カルチャー」の対語としての「リカバリー・カルチャー」という言葉を初めて知った。「お騒がせして申し訳ありません」という言葉の不思議。マスコミやSNSが勝手に騒いでるだけなのに、といつも思う。
元は演劇ワークショップの成果物として製作された後半部分に、前半の前日譚を追撮して仕上げられた本作。その後半、タイトルの由来である『ゴドーを待ちながら』に寄せて描かれる、不在の大和を巡って交わされる会話劇からの怒涛のエンディング。
犯罪者の社会復帰というテーマと会話劇の迫真性で思い出すのは、昨年の『過去負う者』。
一見ベタなシナリオながら、「ステレオタイプな世間の反応」への眼差し、薬物依存症俳優陣の当事者キャスティング、ワークショップ参加者や俳優の瞬発力を信じる ナカムラサヤカ 監督の仕掛けに応えた見事なアドリブ。その志の高さと、タクラミの見事さに敬意を表しての満点採点。
終映後の舞台挨拶でプロデユーサーの 田中紀子 氏曰く、3館 (東京・大阪・京都) で一日一回上映にもかかわらず、本作はこの三連休のインディペンデント系映画興収ランキングで7位に入ったとのこと。さらに拡散していって欲しい作品。