umihayato

ストップモーションのumihayatoのレビュー・感想・評価

ストップモーション(2023年製作の映画)
5.0
僕が写真を撮る仕事をしながら、自分のことを芸術家とかクリエイターとか表現者とか言いたくないのは、本作のエラの様な「人に評価されるとかじゃなくて作らなきゃが止まらない」(本作のエラは母親による虐待のトラウマとも言える強迫観念の影響が強いが)という人達に失礼だなと思うからなのですが

だけど本当に世の中、あの彼氏姉弟みたいな
なんとなくカッコついてるだけな癖に(しかも曲は作ってない!)表現者を自称したり、自分の支配下に取り込もうとしてきたり、人のウケを狙った"お仕事"(しかもパクリ!)をしてるだけなのに、「私はハイになって閃くの」とか自己イメージだけは一流な芸術家気取ってみたり。
そういう傲慢で下品な人間いますよねー。

エラにはドラッグすら必要ない。
自分の中の"ヒラメキ"(普通の人は思いついても引っ込める様な類)自体を少女として具現化し、それがたとえ常識で受け入れられなかろうが倫理を踏み外そうが突き進む。
自分の作品の為に。
世間はそれを狂気と呼ぶそうですが。
ある意味純粋に自分が受けた痛みや現状への怒りに向き合いながら。


そう見ると彼氏姉弟がエラに殺され作品に取り込まれるのはある意味スッキリ。
しかしそんなエラの精神もラストはその罪悪感に耐えることは出来なかったのだろう。
僕にはエラがあまりにも作品の完成を急ぎすぎた事が悲劇の原因と思う。

加虐的な指導や修正や評価を浴びせ「早くしろ」というのに耐えるのが"社会に受け入れられる芸術家"になる条件ならば、そんなフィールドで芸術家を自称するのも、そんな人達に認められて何か地位や仕事が向上したりするのも真っ平御免である。
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