けい

ストップモーションのけいのネタバレレビュー・内容・結末

ストップモーション(2023年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

フライヤーのインパクトから昨年から2025年期待値の高かったホラーのひとつ。主人公エラは謎の少女に出会い、森の中で女の子が不気味な灰男に追われる…そんなストップモーションの物語が現実を侵食していく不気味さは期待通り。可愛さと不気味さが混ざった女の子の人形はお持ち帰りしてしまいたいほど魅力的だし(シネマカリテに撮影に使われた人形が展示されていた)。人形に使用される肌色の粘土のようなものに既視感があると思ったら、先週鑑賞した『カオルの葬式』(2023)という作品の冒頭でご遺体の化粧に使ってたのを思い出した。自分の脚の切り傷を開く “ イタ怖 ” 要素もあり、芸術は痛みを伴うことを直接的に表現していた。

おそらく謎の少女は物語を生み出す芸術の神様のような存在であり、アーティストとしての彼女は限界を知ったことで文字通りお払い箱へ自ら入っていく姿を見て嘲笑うかのように「最高ね」と言ったのではないだろうか。才能のないアーティストは埋もれてしまう。悲しいかなどんな職業にも通じることかもしれない。

そして黒い卵の正体は…?最後に割れてしまったことから、彼女の理性を解放してしまうドラッグのようなもの?。彼氏のお姉さんから受け取ったが、口にしなかったけれど芸術のには魂を売ってしまったメタファーなのか。

母親からパペット(操り人形)と呼ばれる娘は可哀想だったが、そういえば主人公を演じたアシュリン・フランシオーシは『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』(2024)でも夫(と思われる最低クズ男)に操られているような妻役だったなぁ。自分の母親を人形の材料にしなくて本当に安心した。手が不自由になり入院することになって弱々しくなった母親の動きがストップモーションに見えてくるから不思議…。

余談だが、強烈なジャンプスケアが何度かあるのだが、まるで自宅で一人でリアクションしている声のボリュームで隣の人が毎回驚いていたので、下方比較によって冷静に鑑賞してしまった。
けい

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