Kol

傲慢と善良のKolのレビュー・感想・評価

傲慢と善良(2024年製作の映画)
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(本も読んだので感想をここに。)

はぁ、ラストが良かったな。
パートナーの気負わない鈍感さに、一番身近な人間だけど、自分とは違う人間である事に救われる感覚ってものすごく分かるなぁ。

お互いを100点と70点とつけ合ったけど、色々乗り越えた二人は、90点同士くらいに目線が揃ったんじゃないかな。

ピンとくるのは、自分の値段に見合うから。
心が痛い〜

私は、真美みたいな人間が正直嫌いだった。臆病で、融通の効かない真面目さが周囲と馴染めない原因なのに、そんな自分にプライド感じて内心周りを見下してる子。
これは真美視点の物語だから、美奈子とか梓みたいな女の子が悪者だけど、彼女達の気持ちも分かる。架みたいな、自分達のコミュニティで認めた男が価値のある存在って信じたくなる気持ち、社会病理だよね。

真美みたいな女の子は、意外と日本に多いと思う。東北に行って、自分の意思で決断することを重ねて、自我を拾い集めていく姿をみて、彼女も現代社会の被害者なのかなと思った。狭い世界で自己肯定感を削られて、挑戦しようと思う機会すらなかった。

真美が架のことを神格化するみたいな視点と、自分への呪いが解けて本当によかった。
真美から連絡がきてからの、あの場でプロポーズしようと思うに至った架側の視点も読んでみたかった。

婚活とかアプリとか、常に他人の視点を意識して、自分で決断したと思った事も、実は他人軸だったりして。

結婚は二人のことだから、誰の視点も介在しない、二人だけの世界で生きていけたら、それでいいよね。
Kol

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