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死刑執行人もまた死すのGTのネタバレレビュー・内容・結末

死刑執行人もまた死す(1943年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ナチスドイツ占領下のチェコで起きた暗殺事件をテーマにした作品。犯人を血眼になって探すナチスと、その追跡を振り切ろうとする実行犯であるスヴォボダや彼を匿ったマーシャたちを描く。
非常に質の良いサスペンスだ。月並みな言い方だが、上映中は「ハラハラドキドキ」が止まらない。ぶっちゃけ、ストーリーの全てを理解したとは個人的には思えないけれども(こういうサスペンスもののストーリーを追うのが苦手なので…)、それでも十分楽しめた。
スヴォボダがやった暗殺の罪を裏切り者であるチャカに被せるというのがこの映画の趣旨。最後の方はチャカの証人が悉く嘘をついて、彼に罪を被せようとする。ちょっと都合が良すぎるような気もするが、チャカ側から見たらカフカの「審判」みたいな不条理さがあり、ほんのりと滑稽さも感じる。ご丁寧にライターまで奪われるているのは、もはや笑うしかない。確かに彼は悪人だが、あっという間に犯人に仕立て上げられ処刑される様は気の毒であり、また冤罪の恐ろしさを感じて身が寒くなる。
マーシャの父含む人質たちは結局全員処刑されてしまう。墓に花をたむけ、映画は終わりだが、通常考えられる「The END」ではなく「Not」とついた後に「The END 」の文字。制作された年を見ると1943年であり、二次大戦の真っ只中という衝撃。つまりこれはプロパガンダ映画だった!言われてみるとナチス側のキャラクターたちは、皆どこか間抜けでステレオタイプな悪党という感じで描かれている。
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