~雪山ホテルに潜む狂気、崩れゆく家族の深層心理~
「シャイニング」は、スタンリー・キューブリック監督がスティーヴン・キングの同名小説を大胆に再構築したホラー映画の金字塔。ジャック・ニコルソン演じるジャックは、冬季閉鎖となるホテルの管理人となり、妻と息子を連れて山奥での生活を始めるが、密室的環境とホテルに宿る不気味な力に蝕まれ、徐々に狂気へと転落していく。
赤い廊下、ツインの少女、血のエレベーターなど、キューブリックらしい不気味かつ美しい映像が観る者の神経を深く揺さぶる。おすすめのシーンは、おなじみジャックがドアを破るシーンの狂気の笑み。「HERE’S JOHNNY!」という台詞とジャックの狂態が放つ恐怖は、ホラー映画史に残る名場面だ。静けさと緊張感の使い方が巧妙で、その映像美も一度観れば頭に焼き付くだろう。
Kubrickらしい素晴らしいシネマトグラフィーが満載で視聴者を引き付けるシーンは多々ある。残念ながら他のKubrickの作品の方が良作過ぎて若干映画としての完成度は劣って見えてしまうが、独特のコメディーを織り交ぜたホラーは印象深い。
残念ながら映画終盤はJack NicholsonとShelley Duvall演技力は高いのだが、若干ホラー感を無理に引き延ばされている感じでちょっとアンチクライマックス感は否めない。