コマミー

シャイニングのコマミーのレビュー・感想・評価

シャイニング(1980年製作の映画)
4.0
【ゆっくりと侵食されてゆく】

※今週いよいよ「ドクター・スリープ」が公開されます。"ダニー"が大人になり、再びあの"廃ホテル"に戻るのには、どうゆう意図があるのか、気になりますね。という訳で、"キューブリック"が手掛けた有名な前作を鑑賞いたしました。


"ジャック・ニコンソン"の怪演、"Room 237"、"REDRUM" 、"血のエレベーター"、"双子"などで知られる、言わずと知れたキューブリックとスティーブン・キング原作のホラーの名作。
廃ホテルの"呪い"に侵食されていく管理人の"ジャック"のあの執念には、当時観た方なら思わず唖然としてしまったものだろう。自分も何度観ても、目を凝視し、口をあんぐりさせながら観てしまうものだ。

「ドクター・スリープ」でも出てくるあの「REDRUM」という文字をひっくり返すと、「MURDER」になる通り、ジャックを"殺人鬼"に仕立てあげるために、主に息子の"ダニー"を使ってホテルの中に潜む"禍々しいもの"が、誘い込む所が本当に恐ろしい。
 
ただゆっくりとゆっくりと、観客を不安から恐怖から引き込んでいくこの作品が今でも高い評価を得て、今でも知名度も高いのには、やはりキューブリックとキング……、二人の"トラップ・マシーン"が交わってしまった事で、キューブリックの"異常な作家性"、キングの"ホラー・トリックへの執念"というものが交わり、そして図ったかのようにかかるあの"音楽"が交わるからこそ成り立ったのだと思う。

そうゆう点では、ヨルゴス・ランティモスやラース・フォン・トリアーも同じ手法を使っている(余談ですが)。


という訳で、是非とも「ドクター・スリープ」の鑑賞前に、予習してみて下さい。最初は難解ですが、この作品は「トリック・アート」のような作品です。鑑賞時に様々なトリックを見つけてみるのも良いかもしれませんね。

それが、この作品の醍醐味なのです。
コマミー

コマミー