mitakosama

シャイニングのmitakosamaのレビュー・感想・評価

シャイニング(1980年製作の映画)
4.4
久々に鑑賞したら、やっぱりすげー面白れぇ!今更言うまでも無いが、キングの物語だけならココまでの傑作にはなり得なかった。やはり天才キューブリックの演出ありきの今作の完成度の高さよ。

小説家志望のジャックは妻ウェンディ・息子ダニーを伴い、冬のホテルの管理人に。
巨大なホテルに隔離されたジャックが狂気に堕ちるまでが描かれる。

そして、ダニーには特殊な霊感“シャイニング”を持ち合わせ、ホテルのコック・ディックのみが気付いている。

大まかな設定はこれだけ。でも実に引き込まれる。
過度にビックリ箱的な演出を抑えてるのが良い。割と長回しなシーンも多い。
演出は実は抑え気味なのがわかる。

だがカット割がスゲェ。例のダニーが三輪車をかけるアングルの低さ、キューブリック特有のシンメトリーな構図。整然と整理された画面に、このホテルの持つ静かな内なる恐怖を常に纏っている。
ヤバい映像を意図的に作るってこういうことよ。

俳優陣も良いよ。ジャックはジャックニコルソン。段々おかしくなる狂演が素晴らしいし、奥さんの不幸を絵に描いたような顔相。ダニーの可愛らしさと不気味さ。

確かに意味わからないシーンも多い。大量の血液や、ジャックが最後に額の中の写真にいる、とかなんの説明も無い。
コレはキューブリックの謎カケみたいなもんだものな。或いは意図的にハマらないパズルのピースが埋め込まれている。
キングが怒るのもわからんでは無いが、不確実なものを混ぜることで逆に完璧になった稀有なる例だと思う。
mitakosama

mitakosama