ラスト30分くらいまでは展開が読めすぎで、というか最後の最後まで展開は読めるんだけど、起承転結のそれぞれにあるスペクトラムを丁寧に塗りつぶしてるからラストシーンが効いてくる、ああやっぱりショーン・ベイカーは一作ごとにレベ上げして、期待に応えてくれる作家だと確信しましたよ。
それでも作品としてはフロリダ・プロジェクトとレッド・ロケットのほうが圧倒的に好きで、今回は富める者への敵対心が強すぎるのが気に掛かった。いやイヴァンのドラ息子ぶりも両親の鼻持ちならなさもわかるけど、もう少し誰に対しても優しい眼差しの人だったと思うのよショーン・ベイカー。そもそもイヴァンとそのダチの馬鹿騒ぎを全然愛おしいと思えないことがあまりに不利ですが…
バカとダメ人間ばかりの中イゴールはナイスガイと大体の人が思うはずだけど「コンパートメントNo.6」という映画でも一見ガサツだけどハートのいい奴というキャラがドン被りだったのであまりそこは印象に残らず。
フロリダやテキサスと比べると土地の抜け感がないのもちょっとビハインドだったのかな、どうしても前2作と比べてしまうけど、これはこれでいい作品です、でもオスカーなのかというとなぞ笑
レッド・ロケットのレビューでは「次回は違うオチにしてほしい」と書いてるので、そこはきっちりクリアしてくれてる。