TakayukiMonji

ANORA アノーラのTakayukiMonjiのレビュー・感想・評価

ANORA アノーラ(2024年製作の映画)
4.2
今年のオスカーを席巻したこちらを鑑賞。

ショーン・ベイカーのこれまでの作品は、個人的には突き抜けるほど好きではないけれど、マイノリティ側の人たちのヒリヒリした現実の中で強く生きる人たちの人間讃歌がじわりと沁みるという感想が多かった。今作はそこにより映画としてのテンポの良さと爆発力があり、138分があっという間で、とても面白かったし、終盤の展開の素晴らしさに唸った。マイノリティと富裕層の対比がより顕著に残酷に描かれていて、終盤のアノーラの行動自体も切なすぎる。

序盤から最後まで本当にテンポが良いのはさすがの編集力。かなり個人的な感想だけど、この感覚は、全然映画としては違うけれど、“テンポの良さが抜群で面白い”という点で、「パルプフィクション」や「ファーゴ」、「ビッグリボウスキ」が出てきた頃に観た時の感覚に近い。

アノーラ自身の喜怒哀楽、そしてラストの絶妙な感情を演じ切ったマイキー・マディソンが素晴らしかった!


以下、ネタバレ。



ラストの長回しはものすごく印象的。忘れないと思う。
アノーラは、彼の上に跨がり、その行動しか取れなかった自分に涙する。イゴールが欲望を出しながらも制止され気付き、それを受け止める優しさ。もしかしたら、その先に、リアルな幸せがあると信じたい。人間の感情はそんな単純じゃないかもしれないけど。
残酷さを噛み締めながらも、ポジティブに受け止めた。
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