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ナミビアの砂漠のshimiyo1024のレビュー・感想・評価

ナミビアの砂漠(2024年製作の映画)
4.0
監督作、初見だが、前情報からして食らうタイプのものだとわかったゆえ、覚悟の上

唐田えりか、そしてハッピーアワーからの悪は存在しない、で更なる輝きを見せていた渋谷采郁の二人が、まさに聖母のように、全ての女性の道は我々が既に通った道、と言わんばかりの起用がされていて、すごい
に加え、さらなる断絶を予感させるサロンの後輩

映画表現として、想像以上にしっかりしていて、自分ごとに引きつけて内容にも食らいつつ、とはいえ、これから先どんどん高くなっていく世代の壁を感じつつ、完全な自分ごと映画ではない点、フェイバリットとはいえなくて、これは近年感じ始めていた、濱竜的な、会話で、コミュニケーションでぶつかりあって、(時にはわかりあえないことさえ理解するという)相互理解を目指すという理想論、立場、あと単純にロマンチストであることとか、私はそれをここ10年、濱竜、ロメールなどによって、信奉してきたのだけど、もはやこの先、無力化、無効化されていく、とくべつ、理想的なものと思われなくなっていく、旧世代に、あとそれなりにカルティベートされた層に、特権的なものだったのではないか(濱竜が、恋愛ドラマにこそ人間的魅力、映画的スリルを求めてきたようなことまで発言していたのが思い返されるが、それももはや旧世代シネフィル老害の理想だったのではないか)、"真っ当"な"男女"の"恋愛"というもの自体が現代において解体されつつあるため…現に今作も、映画史的にバトンが渡されているなという感慨はあったけど、また、コミュニケーションの不足についての言及とかあったけど、とはいえ、単に若さというだけでなく、別に本気でわかりあおうとするのが善ではないというのが深層にあるのを感じましたよ、そして現実にその潮目を自分ごとで感じているし、俺もいよいよ終わりや、などと思う

自分ごととして、先だって『ついのすみか』レビューに付随して記したような、パーソナリティ的問題抱えた人々が増加してゆく肌感覚、ありすぎるため、なおさらに…

貧困、少子化の言及もあるが、あと昨今の日本は滅びるか論争もタイムリーであるけど、それは滅びますよね
これは以前、『阿賀に生きる』で記したが(本当にそこに書くことでは無い)、高度資本主義社会/高度自由恋愛社会/高度倫理ポリコレ社会の、善い悪いとかではなく、必然的な帰結として。そして宗教的戒律などにほぼ縛られない、日本はなおさらに… (イスラムと比較してのそれは、ミシェル・ウエルベック『服従』で問われていたっけか)

ただやはり、今作のカナにおける病的なものというのは、言及されているように、双極性だとかに近似するもので、これはもう自分の願望として、社会は回避依存、愛着障害にもっと目を向けてくれ、事実世間でもそんなことある?そんな人いる?って感じの認知であるように、それがドラマにしづらい、物語りづらい内的なものであるがゆえ、創作にされづらいという問題は、ある人が既に語っていて、腑に落ち済みであるが…

階段落ち、落ちるカットだとそんなに傾斜無いように見えるが、後に登っていくカットだと結構傾斜あるとわかる

Chimeのレビューで渡邊琢磨の劇伴が良かったことに言及しそびれていたが、今作も観ながら良いなと思ってたところ、エンドクレジットで同じく渡邊氏だと把握
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