カンヌでも国際映画批評家連盟賞を受賞した山中瑶子監督の作品。
「あんのこと」では、河合優実さんというフィルターを通して杏とその奥にいるモデルとなったハナさん(仮名)に想いを馳せましたが、今作ではカナという被写体から河合優実さん本人の魅力・底知れなさをひたすら感じ続けた137分。
スタートからして引き込まれるカメラワーク。特にズームの使い方が独特だし、強烈な隣席の話題に始まる周囲の音のコントロールも観ていて面白っ!となりました。
映画を鑑賞するにあたり、登場人物の背景や行動原理、傾向から少なからずその人を知ろうとしていくと思うのですが、劇中のハヤシとホンダ同様に私もカナに翻弄され続けることに…。
父親への怒り、ロリコンへの怒り、中絶への怒り、そこから安易に彼女の人物像を想像することにすらどこか警鐘を鳴らしてるみたいで気が休まらない。そもそもカナ本人だって“分からない”ところからの自分探しでしたし。
スタンダードサイズで描かれていくカナの定点観測が、他者からの視点(隣室からの英語の音)を意識した事で変化していく自らの俯瞰とも重ねられた入れ子構造にも思えました。それを象徴する様なワイプを使った演出やタイトルでもあるライブカメラの映像も📲
砂漠で水飲み場に集まるオリックス🦌→それを見つめるカナが潤いを求めアイスやナシを口に運ぶ🍨→それを眺め炭酸水を飲む私👀というマトリョーシカ🪆