たくさんの雲が風によって揺れ動くおはなし。
きれいな八重さん(淡島千景)と老けてる甥・初治(小林桂樹)のせいで、年上年下メーターが早々に故障。
また、登場人物が多くて関係が複雑である事と、それらの説明をしてくれる存在がそれらの"中"にいる人であった事で、始めは人物相関図をまったく描けなかった。
物語の主軸でもある、古い思想と新しい思想の争いは、大抵古い側が新しい側を弾圧することで、古い側を憎むようつくられやすい。
今回も始めはいつもの構図だけど、ある辺りから当たり前に新しい側が勝つもんだから古側が不憫に思えた。
他にも様々な人間模様が見られる。
それら全てがまるでハブ空港のように一つの家族に繋がっていて、始めの方にも書いた通り、人の絡み具合が複雑すぎるのだが、これが面白かった。
楽しく切なくめでたい群像劇、鰯雲。
ラストシーンがじわりと胸に沁みた。