ノラネコの呑んで観るシネマ

スピーク・ノー・イーブル 異常な家族のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

4.3
今年5月に公開された、北欧製胸クソ系ホラー「胸騒ぎ」のハリウッドリメイク。
オリジナルではデンマーク人の家族が、旅先で出会ったオランダ人家族に田舎の農場に招待され、徐々にその家族の異常性が分かってくるというものだった。
リメイク版では、ロンドン在住のアメリカ人家族が、やはり旅先で出会ったイギリス人家族に人里離れた農場に招待される。
ぶっちゃけ、中盤まではほとんど同じ話なのだが、終盤をハリウッド映画らしくガラッと変えてきた。
アメリカ人夫婦の夫が、やたら優柔不断なのは変わらないが、マッケンジー・デイビス演じる妻がかなり気の強いキャラクターで、ジェームズ・マガボイ演じるサイコ野郎に対し、オリジナルのように無気力なままでは終わらない。
入り口は同じでも、終わってみるとダウナー系とアッパー系で、まるで別物という仕上がり。
映画の出来としてはどっちらもかなりハイクオリティなので、これはもう好みとしか言いようがない。
これを観てからオリジナルを観ると、あまりの違いにびっくりすると思う。
「君がさせてくれたから」という犯行動機となるマガボイの台詞は共通だが、リメイクだとちょっと弱い。
まあオリジナルは、人間心理の闇を描く鬱展開のいかにもなヨーロッパ映画で、こっちは派手でファミリーのためならなんでもやっちゃう定番のアメリカ映画。
その意味で、どちらも期待を裏切らない。