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お母さんが一緒のプライのレビュー・感想・評価

お母さんが一緒(2024年製作の映画)
4.1
母親のような人生を送りたくない。そんな共通の信念を持つ三姉妹が、旅館を舞台に母親の愚痴を言い合ったり互いを罵り合ったりしながらも愛のあるコメディ映画。

家族って面倒だけど、温かい。そのメッセージへ導くための過程を、タイトルにもなっている「お母さん」を不在で完遂するから凄い。要因としては、視聴者に対して一家の変遷を具体的にイメージさせる三姉妹の言動と、どこか母親にそっくりな長女を体現させた江口のりこさんの演技力の2つが挙がる。これらにより、全く登場しない母親の人物像が高解像度で浮かび上がる。それ故、各シーンに母親が居なくとも、三姉妹それぞれの言動が視聴者目線から見て「お母さんとそっくりじゃん。親子だな」と人物像が重なるし、その逆で「母親のような生き方をしたくない」と反発してきた三姉妹の半生が容易に想像できる。それにより、子は親に似るものだが、同時に親を反面教師にするといった親子の普遍性が見えてくる。だが、反面教師になるほど嫌な部分を一人間の視点から見つけても、身近な人間として共に過ごした以上は愛おしさが溢れてくる。それが家族なのだと改めて思う作品である。

クールな雰囲気を纏っている江口のりこさんが、本作ではバタバタ暴れ回っており、そのギャップが笑える。


⭐評価
脚本・ストーリー:⭐⭐⭐⭐
演出・映像   :⭐⭐⭐⭐
登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐
設定・世界観  :⭐⭐⭐⭐
星の総数    :計16個
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