このレビューはネタバレを含みます
さわだは、たまたま描いたアート「まる」が「円相」として高額で取引されるようになったけど、具体的に大金が入ってくる描写や、それによって身の回りがリッチになっていく描写はなかったなあ。
わかりやすく成功して、低所得者→富裕層になっていく過程はなかった。それよりは、ただ「さわだの円相」っていう事物だけが一人歩きしていた。名前だけ有名になっていくことによる功罪が降りかかってきて、ああ疲れた、っていう顔をしているさわだが印象的だった。
結局のところ、さわだは矢島や横山と同じように、経済格差の煽りを受ける立場にいたけれども、お金持ちになったり成功したりしたい!という欲望よりは、ただ職人として絵に関わっていたい、っていう気持ちしかなかったのか。モーとのコンビニバイトも辞めてなかったしな。
世間から負け組と思われても、何の役に立たなかったとしても、自分は自分であることを証明しようとし続ける。それが人生なのかもしれないですねえ
モーがとにかく素敵でかわいすぎて、最後の最後でさわだに円相を描いてもらってたから、何だよモーもそっち側の人間になっちゃったの???と早とちりしかけたけど、大事そうに持って「大事にするね」と言っていた。売ってお金にしようとしているわけじゃなく、遠くに引っ越してしまうさわだとのお別れが近づいているから、記念に持っておきたいと思ったんだね。モーはこの映画の癒し!
ーー以下、印象的だったセリフたちーー
・何かと戦ってたんでしたっけ?
・役に立たないといけないのかな?
・自分が自分であることを、証明はできない……
→それ、仏教では無我といいます!