みんな◯に夢中になる。
荻上直子監督、脚本、堂本剛主演によるドラマ。
人気現代美術家のアシスタントをしている主人公が偶然◯(まる)を書いたところ突然ブレイク、日常が変化していく姿を描く。
主人公となる美大卒の沢田を堂本、沢田のアパートの隣に住む漫画家・横山を綾野剛、沢田と同じアシスタントの八島を吉岡里帆が演じているほか、森崎ウィン、戸塚純貴、おいでやす小田、濱田マリ、早乙女太一、片桐はいり、吉田鋼太郎、柄本明、小林聡美等が登場。
物語は、美大卒ながらアシスタントとしてくすぶった毎日を送る沢田が腕を怪我をしコンビニ店員として働く中、偶然描いた◯が禅における書画の一つである円相として本人が知らぬ間にSNSでブレイクする様が中心となるのだが、当事者が預かり知らぬところで一躍時の人となっていく展開は、素材は別として実際に起こりそうであり、時流に沿ったもの。
ただ、そのブレイクする中盤までが非常に長かったのと同時にテンポが悪かったのに加え、アートや禅に詳しくない私としては、◯がブレイクする理由がさっぱりわからず、終始のめり込むことができなかったのが正直なところ。
加えて、柄本演じる先生と呼ばれるキャラクターが謎すぎたり、はたまた時折起きる地震の演出も理解できずと、頭にハテナマークが浮かび続けた中、極め付けは迎えたエンドロールでの堂本が歌うセルフカバーの主題歌であり、完全に浮いていてノイズでしかなかったのは笑うしかない。
反面、キャストの演技は皆安定度抜群で、特に居酒屋のカウンターで堂本と綾野がビールを呑みながら会話を繰り広げるシーンが何気に長回しとなっているのだが、途中綾野が絶妙なタイミングでゲップをしており、あれが演技なら流石の一言。
クルマ好きの視点からすると、吉田演じる現代美術家の所有と思しきクルマが、黄色のアバルト・595で、アーティストらしいチョイスだったのは見逃せないポイント。
吉岡目当てで観たところ、登場シーンが思いのほか少なかったのが残念だったのだが、綾野の怪演と森崎演じるコンビニ店員が何気に優勝だったとともに、前述のエンドロールを含めて堂本ファン向けムービーであることを早く言って欲しかった一作。
おつかれ、おかえり、おやすみ。