「まる」に囚われて、「まる」に振り回される男の話。なんとも世にも奇妙な物語でありそうな題材で、実際にこんな話があったとしても違和感がない。
最初から現代社会を皮肉った内容なんだろうなと思っていたけど、いざ見始めたら想像よりももっと大きなものを皮肉っている気がした。美術業界や社会構造、俗物的な価値観だけじゃなく、宗教的な考え方とかも含めて。狙っているわけではないかもだけど、考えながら見ると、途端に思考がいくところまでいっちゃう。そんな感覚になる映画でした。
そして、そこに監督の良い意味でヘンテコなセンスが加わって、あんまり見たことないものに仕上がっているのが良かった。日常の切り取り方も独特で、特に柄本明が出てくるシーンは、ひときわそのエッセンスが強い。
あと、地味に堂本剛の演技好き。あの独特な飄々とした雰囲気が、この作品性とかなりマッチしてて、監督が約２年もかけてオファーしたというのも納得。あんまり俳優としてのイメージなかったけど、また彼の出てる作品が見たい気になりました。
