まぬままおま

ビキニをやっつけろ!のまぬままおまのネタバレレビュー・内容・結末

ビキニをやっつけろ!(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ブリリア短編。

成人女性であってもトップレスでカメラの前に現れるのは慎重な判断が求められるはずなのに、リリーを演じた彼女には適切な演出がされているのだろうか。

監督や物語が子どものトップレスには何ら問題ないと主張するのは一つの価値観として受け止めはする。けれどみている人は必ずしもその主張に同意するわけではない。カメラでドキュメントされることは、無限とも言える眼差しに曝されることだと自覚するべきだし、その責任は持つべきである。

本作の多様性の胡散臭さは、ラストの描き方に透けてみえる。10歳のリリーは、トップレスからビキニを着て水遊びをするよう変化を求められる。彼女はビキニに合う身体を持ち合わせていないし、ビキニはダサいからと着ることに葛藤する。そんな彼女を励ますために、男友達は同じようにビキニを着るのだ。

この展開は全く笑えない。コメディーの下手さでも許されない。男性がビキニを着れば、トップレスの女性と平等になれるわけではない。それを平等とするのなら、私はそんな平等は要らないし、何も問題が分かっていないと思ってしまう。すなわち、リリーの「女性の身体であり、受け入れること」の問題が。

多様性の尊重とは、自分の気持ちのままに生きることではない。それは単なる身勝手である。もちろんその不自由さが差別的な構造で制限されるなら、変えられるべきである。しかし変えるのは、構造であって気持ちではない。もちろん受け入れ、尊重する気持ちは、主体が人間である以上、必要である。しかしあまりにも気持ちに焦点が当たりすぎて、構造が無視されている。その視点がなければ、多様性の主張は臭気を放つことになってしまう。

コメディに真面目になりすぎた。しかしコメディこそ、笑えない状況を明らかにしてくれるジャンルだと思っている。