カラン

麻薬密売人 プッシャーのカランのレビュー・感想・評価

麻薬密売人 プッシャー(1997年製作の映画)
5.0
ニコラス・ヴィンディング・レフンはニューヨークでもコペンハーゲンでも映画学校を放校処分となってしまうのだが、映像を作り続け、たまたまそれを観た業界人から声がかかって、24才にして脚本、監督を務めて、長編デビューとなったトリロジーの一本目。捨てる神あれば、拾う神ありで、レフンは資金を得て、若気の一発目で才気煥発、爆発する。

暴力的なんだけどね、突き詰めた獰猛さってなかなか簡単に表現できないよね。本作は、闇の中までお構いなしにカメラを回して、過失→疾走→過失→疾走をただただ追求。シンプルな編集で、変に切りかえたりしない。とにかくカメラは追っかけるし、主人公は破滅から逃げているのか、破滅に向かって爆走しているのか。

ナイトクラブのシーンでは、爆音でサラウンドスピーカーがなる。(レンタルのDVDね。) ここまで鳴るかっていうくらい、サラウンドスピーカーのウーファーから下品な低音がばんばん流れ出して、とうとう主人公の女も走り出す。感じるよね。

ナイトクラブの闇の中でストロボライトがばしばし明滅して、言いなりだった女が画面手前に疾走を始める時も、リアでスピーカーが下劣に鳴りまくるのだけれど、頭がおかしくなるほどに映画内世界(つまりやばいナイトクラブ)に向かって情動的同一化を煽る。煽る。快感。

リアにデカいスピーカー置いて、観れるならば、観てみて下さい!
カラン

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