尿道流れ者

麻薬密売人 プッシャーの尿道流れ者のレビュー・感想・評価

麻薬密売人 プッシャー(1997年製作の映画)
3.5
デンマークはコペンハーゲンで起こる麻薬密売人の一喜一憂。男は友達と娼婦と麻薬とじゃれ合う。何にもならない日々、しかしそこに訪れる危機。いつものようにかわせると思ったものが、バランスの崩れでどうしようもない一大事になる。恐ろしくも破滅的な男の日々はなぜこうも愛らしく切なく胸にくるのか。自分が男だからというわけではなく、思春期にある根拠の無い全能感や万能感という誰しもが持つ勘違いとこの映画に出る人間の行動が共鳴して、そういった感情に行き着くんだと思う。本当に情けないし、くだらないが。あの頃は良かったという気持ちでも駄目だったという気持ちでも、同じように寂しいし物悲しい。

レフン監督のデビュー作。映像的には後のドライブやオンリーゴッドのような唯一無二としてのフェティシズムは感じないが、こだわりのあるドキュメンタリータッチなカメラワークなど面白い。このこのから音楽的センスは凄く、音楽イッパツで今映るシーンが持つ雰囲気を伝えてくれる。たくさんのことが起こるが、それはそれでなんでもないと片付けられるようなつまらないことというくだらなさがとても良い。