自閉症スペクトラム(アスペルガー)当事者ジェイソンとその父親、そして家族の物語。
ジェイソンは感覚過敏強め、こだわり細かめで乱されると癇癪を起こしてしまうタイプの10歳。天体や量子力学に詳しくビッグ・クランチの話ならなんぼでも何時でもできる。外でも学校でもその特性が厄介者扱いされてしまい、全員疲弊する毎日である。
ジェイソン視点でも親視点でも、正直見ていて辛くなってしまう。随所にあったヒリヒリ感が伝わる演出、よかったな。
それでも親はやっぱりジェイソンを幸せにしたいわけで、ある日「ドイツのサッカー56チーム全部スタジアム観戦して推しチーム決めっぞ」と言い出した息子に、父は毎週末ドイツ中を旅する約束をする。
道中本当にトラブル続きだし、父が仕事と家族の優先順位に葛藤するところは見ていてやっぱり辛い。でも母に比べてどこか距離のあった父が、旅を通してジェイソンをより深く理解できるようになる描写や、ジェイソン自身が成長してゆく様はとても素晴らしかった。
サッカー好きなら、ドイツサッカーの観戦シーンの数々もきっと胸熱だと思う。私はなんも詳しくないのでどこが有名だとか強いだとかはさっぱりなんだけれども、ジェイソンがチームを推しと決めるためのマイルールがハードル高すぎて毎回笑ってしまった。靴の色まで大事なんだね。
この映画は実話をもとに作られていて、彼らの旅はまだまだ続いているみたい。いつか推しに出会えるといいな。
今回はFilmarks様のオンライン試写で見せていただきました。ありがとうございました。