"賊の意地"
江戸幕府の末期、旧幕府軍と新政府軍が覇権争いを行った戊辰戦争が舞台となる。
本作はその戦争の最中、旧幕府軍である新発田藩が新政府軍へ寝返ったという史実に基づくエピソードをアイデアに作られた時代劇アクション。様々な罪で捕らえられていた11人の罪人たちが、無罪放免を勝ち取るため、砦を守る任に就き、壮絶な戦いに身を投じるというもの。
元々は『仁義なき戦い』シリーズなどで知られる脚本家の笠原和夫が残した幻のプロットが元になっているという。それを『孤狼の血』の白石和彌が監督するというのは、最も適した人選だといえる。悪党たちがチームを組み命をかけて戦うという構図は、まさに時代劇版『スーサイド・スクワッド』のよう。
また、タイトルやプロットから思い出すのは黒澤明監督の『七人の侍』だが、その後の60年代には東映が従来の時代劇とは一線を画す「集団抗争時代劇」がブームとなった歴史がある。本作は現代版にアップデートされた「集団抗争時代劇」の系譜となる作品といえる。
作品の見どころとしては、世の中から見捨てられた人々が時代の転換期である大きな戦争や権力争いに巻き込まれながらも、自由を求めて戦う姿だろう。
もちろん集団抗争時代劇の醍醐味である集団vs集団の戦いも見応えがあった。
主演の山田孝之、仲野太賀はもちろんのこと、紅一点の鞘師里保も印象的な演技だった。
ただ、上映時間155分はいかんせん長い。
もう少しテンポを上げてもらいたいと思うところがいくつかあった。
また、焙烙玉があまりにもチートアイテムすぎて萎える。時代的に刀で戦う時代も終わりを迎えてきた時期だとはいえ、切り札として使うならともかく、ホイホイ投げすぎだと思う。槍のお爺ちゃんの殺陣はものすごく良かったので、あのようなシーンがもっと見たかったところ。