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太平洋奇跡の作戦 キスカのcatmanのレビュー・感想・評価

太平洋奇跡の作戦 キスカ(1965年製作の映画)
5.0
「ダンケルクも良いけど先ずはキスカでしょ」的なコメントを散見していたので、じゃあってんで観てみたら、もうめちゃめちゃ良かった。大村司令官と秋谷司令官が対面するシーンはマジ泣ける。演出・役者・映像・音楽・編集、 全てが良い。『特技監督 円谷英二』のクレジットに胸踊る。

先ずキスカ島撤退作戦を過度に美化せず感傷的にもならず作戦の成否にテーマを絞ってテンポ良く100分強の尺に纏め上げた演出と編集のセンスが凄くイイ。緊張感の中にユーモアも忍ばせつつスペクタルな見せ場もある緩急巧みなストーリー運びも見事。
三船が演じる大村司令官は戦争映画にありがちな有能過ぎる上司ではあるものの、その演技とカリスマ性はもう流石と言う他ない。オーラが半端無い。山村聰とのコンビネーションも貫禄&安定感充分。二人とも良い声してますな。声と言えば、矢島正明のクールな名調子によるナレーションも本作の萌えポイント。役者陣は他にも準主役級から端役まで、皆それぞれ印象に残る名演。登場人物が多いのに散漫になっていない。
團伊玖磨の音楽も決して扇情的になり過ぎず、主題曲のキスカマーチは本作全体のポジティブなムードを高めていてグッジョブ。
円谷英二による「特撮」は、特に海のシーンではモノクロ映像との相性が良くって、濃霧の中から浮かび上がる戦艦の姿は非常にドラマチック。島に最後まで残った二人が基地を後にするシーンは、カメラアングルから爆発するタイミングまで完璧で唸る。当然ながらCG合成は一切無いわけです。撮影は全般的に素晴らしく、白と黒、陰影のコントラストを強調した美しいカットや、海岸に集まる大勢の兵士を捉えるロングショット等々、豊かな映像表現に感動しまくり。劇場で観てみたい
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