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ブラザー・フロム・アナザー・プラネットのcatmanのレビュー・感想・評価

5.0
1984年公開。ニューヨークのハーレムへ降り立ったアフロアメリカン(ブラザー)そっくりなエイリアンと地元の人々との交流を描く風変りでユニークなSF映画で、制作費35万ドルというスーパー低予算によるインディーズ作品。人種や移民、貧困やドラッグなどの社会問題を風刺しつつも、軽妙かつユーモラスで優しいタッチがなんとも味わい深い。 
主演は何とジョー・モートン。これが映画デビューらしい。セリフが一切無いので彼の美声を聞けないのはちょっと残念ながら、人の話を理解はするけど自分では一言も喋らず主張もしないイノセントなキャラクターを繊細な表情や仕草で体現していて実に見事。主人公以外にも、バー常連のおじさん達や地下鉄でカードマジックを見せる青年など端役に至るまで多彩なNYCの人々が表情豊かで情趣が感じられる。ジャンカルロ・エスポジートも何処かに出ているらしいんだけど、見つけられず。あとこの無垢なブラザーが一目惚れしてしまうチャーミングなクラブ歌手が、ジャズシンガーのディー・ディー・ブリッジウォーターでびっくり。劇中でちゃんとボーカルを披露しているのが嬉しい。得した気分。それと監督のジョン・セイルズ自身とデヴィッド・ストラザーン(!)が演じる、ブラザーを追って地球にやって来たハンターの白人コンビが何とも言えない可笑しな味わいがあって良い。スティールパンをフィーチャーしたゆるめの劇伴も作品の世界観にマッチしていてめちゃくちゃ良い。108分。大好き。

パブリックドメイン化しているので本編がYouTubeにアップされています。ご参考までに。
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