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バグダッド・カフェ 完全版のcatmanのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

1987年公開。初見。前回ここへアップした自分の「ブラザー・フロム・アナザー・プラネット」に頂いたコメントに本作への言及があったので早速観た次第。なるほど、この緩めで癒し系の世界観は確かに双方に通ずるものがある。独特のリズムとトーンが妙に心地良い。素直に良い映画だと思う。ただ、無気力でやさぐれていた人々が、主人公の行動によって徐々に心を通わせはじめ、さしたるトラブルも挫折も無いまま全員が幸せに満たされるという絵に描いたようなハートフルなドラマは、ファンタジーだとは言え個人的にはちょっと甘過ぎるな〜と感じてしまう。終盤のアゲアゲミュージカルテイストにも若干の居心地の悪さが。そんなところへ「私には合わない」と言い放ってカフェ仲間のひとりだったモーテルの寡黙な住人(彫師)があっさりコミュニティを捨てて去って行く場面があったのは良かった。これが有ると無いとで印象が大きく変わる。
ヴェガス郊外の砂漠を舞台にした撮影が凄く良くって、空を染めるオレンジ〜ピンクを基調にした色彩が美しい。ザラついたフィルムの感触も良き。ブーメランのシーンは全部好き。給水塔が印象的。大ヒットした主題歌「Calling You」は、正直に言うと当時からそんなに好きじゃない。観終わってから西ドイツ映画と知って「ほほう」となる。そういえば「パリ、テキサス」にも近いテイストがある様な気がする。104分。
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