しあつん

五瓣の椿のしあつんのレビュー・感想・評価

五瓣の椿(1964年製作の映画)
-
むさし屋の娘・おしのが病気で亡くなった父親の仇を取るために、浮気な母親と関係した男を洗い出して復讐する…その手段は実に鮮やかで、芸者のふりをして男を誘惑し、引っかかった直後に次々と椿のついた簪で刺し殺してゆく。

おしのが復讐をする男のセリフに「焦らさないでくれよ〜」が2回くらい入っていることに気がついてしまう、彼らの愚かさたるや…

おしのの回想では、左幸子さん演じるおしのの母親、喋り方がクセになるのと、尻軽女ぶりに震えた。加藤嘉さんの演じる父親は、父親として娘が大切にしたくなるのも分かる…

捜査パートでは、加藤剛さん演じる与力、捜査のあいだに牛鍋のようなものをつついていて余裕がありそうな姿から、最終的に獄中で錯乱したおしのに同情してしまい涙を見せる姿が印象的だった。やはり志麻さんと加藤剛さんのコンビは…!

おしのの気持ちなんか私が理解できるはずもないから何にも言えないが、少なくとも復讐のために殺すのも残酷だが、許せない人を苦しめるためにあえて生かしておくことも残酷なんだということも学ぶ。

散って水に浮かぶ椿、なるほどタイトルの意味は観終わってわかった。
火事のシーン、「血のような」空など赤色が印象的な映画だった。

物貰い(こういう表現が相応しいのかは分からないが)の親子が巡礼に来て追い払われてしまうシーンは『砂の器』を思い出した。
しあつん

しあつん