夏に見るか、冬ならお家でのんびりしながら観てほしい映画。毛布にくるまってコーヒーでも飲みながら。
とかく、とかく後半まで見てほしい。
前半はなんかやさぐれてるお兄さんがずっとやさぐれでるだけでなに?って思うんだけど、後半に前半の全ての種明かしがある。
最高にタイトルと矛盾してるやん。
その皮肉とも取れるタイトルが、後半まで見るとじんわり沁みてくる。
それだけの恋に落ちて
それだけの喪失の中を今生きてるんだ、佐野は。と。
こういう映画、邦画にはありそうでなかった気がする。
映画としては、どストレートな画面の色彩設計がよかった。わかりやすい視線誘導として色彩が使われていたけど、the・バランスのいい色合い的枠組みからはみ出ることなく彩度の高い色合いを用いていたし、光と影の使い方も明白でなんか全体的に画面の意図がわかりやすかった。
たぶんかなりロケ地にも救われている。
海、いいよね。
ホテルや海での画面構成や画角が結構いいなと感じたので、わかっていて選んだのなら慧眼だなと思う、個人的には。
前半の荒削りさを感じさせる場面転換やプロットがミニシアターの映画らしくて、あの熱海の景色とホテルの内装があるからこそわざとらしいくらいの視線誘導が逆にしっくりきた。
そして、hi-liteで入れ替わっていく現在と過去、後半。
凪ちゃんがかわいい。
女の子を撮るのが上手い。衣装もすばら。
前半は死、後半は生の雰囲気に溢れていて、生が後半に来ることでより前半の喪失感が際立って見えた。
失われた幸せの亡霊を追いかけにきてるのにタイトルは永遠にめちゃくちゃ幸せ、であるという矛盾。
あの瞬間は、確かに幸せだった。
それが永遠に過去のものとなろうとも。
すばら。
映画全体の未熟さや若さが
何かを作り出そうとする前向きなエネルギーに満ちていて好き。
苦手な人の気持ちもわかる気がするが
個人的には、悪くなかったしよかった。