アリス

本心のアリスのレビュー・感想・評価

本心(2024年製作の映画)
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親子の話かと思いきやラブストーリー。いや、親子の話でもある。

遠からず、二、三歩先の未来の話。仮想現実での死者との対話は死という概念が無くなり、いつまでも延々と意識だけが電気信号となって生き続ける世界となる。人は死を超越したのか。

朔也の記憶にある母はいつも笑顔であった。が、実際の母の写真は無表情である。
母の映像に話しかけ続けることでAIが学び、更にその人物に近づいてゆく。だがそれはこちらが観たい人物像であり、決してその本人ではない。
記憶に残っている母は朔也にとって嘘だったのだろうか。それもまた朔也の思う母の面影であり、現実から逃避した理想でもあったに違いない。

前半は仮想現実の社会の良い面を描き、後半から闇の面、人間のエゴを映し出している。

この作品はSFだが、すぐそこにある現実。リアル過ぎる内容は笑い事で過ごすにはかなりシビアであった。
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