JunichiOoya

取り残された人々:日本におけるシングルマザーの苦境のJunichiOoyaのレビュー・感想・評価

1.0
配偶者がなく、子どもを育てながら暮らしを立ててる人(その人は女性のことが多いようでシングルマザーと呼び習わされます。私は普段「ひとり親」ということばを使ってます)のしんどさに取材したドキュメンタリー。
撮り手はオーストラリアから日本に来て長く暮らす人で、普段はプロレスラーを生業としておられます。(リングネームは藤原ライオンで、「藤原」というのは藤原喜明に由来してます。で、彼のレスリングスタイルも分かりますね。ただ175センチとレスラーとしては小柄)

閑話休題。
それにしても、見ていて違和感の多い映画でした。
①被写体になる女性たちの「貧困」は政治に起因する部分がほとんどだという論調。なのにその「政治」への論究がまるで無い。だから、「政治」の何が問題でどうしなきゃいけなくて、撮り手はどうアクションしているのか。それが全く描かれないので、敢えて申し上げれば「何も言って無いのと同じ」
②インタビュイーたちは社会活動であったり、表現活動であったり、そしてなんと僧侶(真宗大谷派の人が複数登場)、いろんな「仕事」をしているのですが、私が知るひとり親の人って、所謂エッセンシャルワーカーだったり、ビルメンや清掃や調理だったり、そして性産業だったりで年収200万界隈で呻吟している人ばっかり。なんで、そういう人たちがインタビュイーにならないのか。
③インタビュイーたちの話は「別室」でピンマイクを胸元につけて、あまつさえシナリオがあって、の体裁。それはそれで一つの方法論ではあるけれど、彼らが実際に働き、収入を得るメカニズムが絵として表現できてなくて、総じて絵空事にしか見えない。

嗚呼、藤原ライオンさんは一体何を表現したかったのかしら?
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