このレビューはネタバレを含みます
ファスビンダー映画の登場人物はいつもに飢えてて、届かないものに手を伸ばしては失墜して、孤独に落ちていく。
主人公のフランツをファスビンダー自らが演じてる。天使の影のひも役とは大違いで、今作では純粋無垢な青年役。特に目線で良い。演技の幅広さにも驚いた。宝くじを当てたことで、小金持ちなったことでブルジョア青年との恋に落ちるが、育った環境の違いによる価値観の差がきっかけで上手く行かず、金蔓にされた挙げ句に、孤独に死んでいく。ラストのフランツ(ファスビンダー)の背中の物寂しさには心を撃たれた。
いささか、嫌なブルジョアの描き方がテンプレで、人物造形としては優れているとは思えないが、資本主義や階級社会がいかにして人間性を損なわせるかということがファスビンダーと言いたかったことなのか?。自ら演じることで、物語に説得力を持たせた、作家の傲慢さは嫌いになれない。