このレビューはネタバレを含みます
自暴自棄となった主人公が復讐を果たすわけでもなく路傍の石として誰からも顧みられることなしに生を終えるラストカットの突き放し方、もとい極限までの無関心は、ハネケやトリアーの露悪的なそれよりもよっぽど性格の悪さというか、イカれた部分が発露しているように思えた。金銭的な優位があるはずの男が、逆に高次の文化を躾られる立場へ転倒するという『マイ・フェア・レディ』の歪なズラし。
観覧車、時計、時計の中で運動する針、円環の反復。誰しもが時間と共に老いると語った冒頭の台詞をショットのレベルで語り直しながら観客に意識させた上であの突き放し。老いさせてくらすれない。本当に誰よりも底意地が悪すぎる。