オリンピック委員会難民選手団として東京2020オリンピックに参加した選手たちに密着したドキュメンタリー。イラン女子初のメダリストが政治批判をしたために国に追われ、その第1戦がイラン国籍の選手相手というのがなんとも。
　全体的にアスリートとしては難しい立場にあることは間違いないながらも各々が奮闘し、自己ベストをだしたりするスポーツの記録としてまずは素晴らしい。河瀬直美が少ししか残せなかった東京オリンピックの記録だ。と同時に、代表団としてドーハで合流してから陽性者が関係者に出た関係で東京移動に黄信号が灯る様子は、コロナ禍のオリンピックの証言としても貴重である。
　こうした作品を『娘は戦場で生まれた』の監督が次なる題材として選んだことも実に興味深い。

• #ドキュメンタリー抹茶

WE DARE TO DREAM / 私達は世界に挑戦する

難民映画祭のスピンオフ企画として、世界難民の日(6/20)から公開された作品。

東京オリンピック2020において、IOC難民選手団に選ばれるまでとオリンピックでの活躍の作品。

選手団としては、シリア、南スーダン、イラン、アフガニスタンなど11カ国出身の代表から成っていた。そのうち、本作では５人の選手がメインで紹介されている．◎は試合映像多めの選手。
◎テコンドー：アリ・ザダ（イラン）
◎カヌー：ファズローラ（イラン）
◎重量挙げ：シリル（カメルーン）
1500m走：アンジェリーナ（南スーダン）
空手：ワエル（シリア）

難民選手団とは、リオオリンピックから設立された難民による団体．設立背景は、バッハ会長の発言を借りると
・世界中のすべての難民にとって希望の象徴となり、この危機の大きさを世界がよりよく認識する
・難民が私たちの仲間であり、社会を豊かにする存在であることを国際社会に伝える
・想像を絶する悲劇に直面しているにもかかわらず、誰もがその才能やスキル、人間の精神の強さを通じて社会に貢献できることを世界に示す
としている。この施策が功を奏しており、リオオリンピックのときは10人であったが、東京五輪では29人、パリ五輪では36人と徐々に増えている。なお、今年がパリ五輪で、この作品からも出場する人がいる。

人により状況は異なっていたものの、過酷さが伝わってきた。作品からは、特にイランについては守らなければならないことが多く、そこに対してさまざまな意見や行動があった。
そもそも、難民になるのですら難しいのに、そこからオリンピックを目指すという点が物語の複雑さと高度さを示している。その中でも、希望を持ち、前向きに頑張っていた姿は良かった。

一部選手らの声を抜粋する。
・難民の声を届け、苦しい状況を伝えられる
・難民でも世界トップアスリートになれることを示したい
・オリンピックが人生の光、その光をイランや世界中の難民に見せたい

本人たちだからこそ感じる点があるし、そういう点を作品として広げて観る機会が与えられるというのは貴重とも言える。もっと世界を知って行きたいと感じた

うお、初レビュー
世界難民の日に合わせた難民映画祭のスピンオフ企画としてオンラインで公開されており拝見
東京オリンピックでの難民選手団がテーマ。当時も、五輪という国家単位の旧態依然とした枠組みの中でなんて画期的で価値ある取り組みなんだと思ったが、個々人の人生にスポットが当たるとさらに心動かされた
スポーツ選手として戦うことに並行して、矢面に立って政治的に戦っている彼らに頭が上がらない　これを強いられることがまたforcibly displacedの意味するところなんだなと思い厳しい気持ちに　いつか彼らの役に立つ仕事がしたいです