都部

仮面ライダーJの都部のレビュー・感想・評価

仮面ライダーJ(1994年製作の映画)
2.7
巨大化が出来る仮面ライダーとして唯一無二の立ち位置を確保している仮面ライダーJを主人公とする本作は、申し訳程度に環境問題に接触を図り、登場人物の数を最小限に絞っているもののさほど面白くはない。

まず環境問題を趣にしている割に敵役(かたきやく)に位置するフォグマザーの在り方がそれほどその問題と関係ないのがなんなんだよという話で、自然エネルギーを得て変身/巨大化する風変わり設定を呑み込ませるだけの描写がまるで成されていない。場当たり的な設定の開示は忙しなく、尺が限られているのだから焦点はもう少し絞るべきであると思った。短編なのに早送りでダイジェストを見ているような気分だ。
この話の台詞の7.8割は『お兄ちゃん!』『かなちゃん!』の掛け合いで形成されているような気がしてならないのだが、もう少しちゃんとセリフが欲しい。

前半のかったるさと比較するとワイヤーアクションが主体の後半は比較的楽しく、目玉である巨大化による活劇は同特撮のウルトラマンとは違うアプローチをして差別化をしようと言う痕跡は見られるが、やはり尺や工夫は不十分であるから発展途上という印象を受ける。ただ大自然の中で異物の存在同士が殺し合う俯瞰のショットが割と面白くて、これは市街戦には出ない味だと思うから巨大化する前の戦闘の方が面白いカットは多かったと思う。

『エイリアン』の影響を感じさせる敵の本拠地周りのクリーチャー演出はまあまあ前例があるし……とそこまで乗れなかったが、舞台として用意される艦隊内のセットは気合い入っていて結構良かった。アトラクションとかにしたら楽しそうだね。人間の臓器を思わせる配色の舞台で繰り広げれる肉弾戦も視覚的に強く、本当にもう少し話を詰めればな……と口惜しさを感じてしまう。
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