このレビューはネタバレを含みます
夫人といえばエマニュエル。
エマニュエルといえば夫人か坊や。
このタイトルにピンときたら、同世代。
そんな興味本位ながら、なかなかに魅せる映画だった。
フランスに行ったこともなければ、フランス人の知り合いもいない。
それでもアートな画面、知的で品のある雰囲気のノエミ・メルランはまさにフランスの情緒たっぷり。
サイバーパンクなイメージの香港が舞台とあって、オリエンタルで妖しげな、いかがわしさを湛えたシチュエーションに異国の女性が所在なさげで心許ない。
心は満たされないと分かっていても、追い求めてしまう渇望。
スリルと日常。
平静を装ってはいても、抑えられない衝動。
そんな主人公に「新たな扉を開くのは君だ」と背中を押す映画。
官能的なイメージに留まらず、エマニュエルをはじめとする多くのプロフェッショナルたちの映画でもあって、そこも良かった。
ラストに主人公が満たされてゆく、痴的な解放感が心地よい。
カップル映画には気まずいけど、アート好きな人にはお勧めしたい美しさ。