このレビューはネタバレを含みます
途中で展開が読めたけど、それでも涙が止まらなかった。内容を詳しく知らずになんとなく面白そうってだけで観に行ったら、まさかこんなに泣ける映画だったとは。映画館で観て本当によかった。
鏑木が18歳という若さで逮捕されたことで、友達や恋人との青春、初めてのお酒の機会も奪われてしまった。でも、逃亡中に和也とお酒を呑んだり沙耶香と出会って好きな人が出来たりして、普通とは違ってもそういう経験が鏑木にも出来てよかった。と思う反面、誤認逮捕さえ無ければ当たり前にもっと色んな経験が色んな形で待っていたのだろうな、と思うとやるせない。
鏑木の"どうしてもやらないといけないこと"が復讐だと予想しながら観ていた。でも実際は、又貫刑事を憎んで殺すことでも井尾(証言者)を責めることでもなく、ただただ自分の無実を証明すること だったのが鏑木の正体を証明していると思う。
鏑木が死ななくてよかった。生きるのを諦めなくてよかった。もっと生きたいと思えてよかった。
時を戻すことは出来ないけど その分、心優しい鏑木慶一が、この先 誰にも邪魔されずに生きたいように人生を歩めますように。
現実でも逃亡や冤罪事件はニュースで見かけるけど、他人事のように思っていた。でもこの映画を観て、自分の身近な人が指名手配犯だと疑ったり気づいてしまったりする瞬間の恐ろしさ、いくら世間に犯罪者だと決めつけられてもこの人はやっていない。と信じる人の強さ、ある日突然濡れ衣を着させられて自分の全てを失い奪われる苦しさを感じた。
自分がもし当事者だったら、、と考えるととんでもなく怖いし、絶望するし、身近な人を信じきれる自信が無い。こういうことが現実で実際に起こっているなんて、
横浜流星と吉岡里帆の演技が特に輝いていた。吉岡里帆は勝手に苦手意識があったけど、印象がガラッと変わった。横浜流星の猫背具合や顔つきの変化が凄まじかった。
満足度は5.0だけど、ストーリー上仕方がないことだとしてもあんなに大々的に報道されている中、堂々と生活していても誰も気づかなかったり川に飛び込んで逃げたり、、という違和感が所々であったので、4.9。
久々に思いっきり泣けてずっしりと余韻に浸れる良い作品に出会えた。もう一度観たい。きっと序盤から泣いてしまう。