かえるのエリー

正体のかえるのエリーのレビュー・感想・評価

正体(2024年製作の映画)
4.2
推しのSixTONESから森本が出ているんだね、くらいに思っていたが、賞レースに乗ってきたことと、やたら藤井監督が絶賛されているのを耳にすることで、急遽劇場へ。エンドロール、ヨルシカの曲が良き。




以下ネタバレ感想




多用される横顔ショット。半分しか見えないその顔からは感情を全て読み切ることができない。本作のタイトルに非常にマッチしている。

名前を偽り、時には顔も偽って彼が接してきた人たちは、その上部ではなく彼の中身を感じた。
一方で、ヤツの正体を知ってるか?と問い詰める側(警察)の方が、実は正体を知らない、いや、敢えて知ることを拒んでおり、不都合な真実を抹殺しようとする様は、昨今の冤罪事件と重ねるとゾッとする。

ちなみに、殺人からの日本中を逃亡となると、真っ先に思い浮かぶのはNOVA先生殺害事件。犯人は整形もしていたね。私が元NOVA生ということもあり、被害者は先生の友達の元ルームメイトだったと聞いていたので、記憶に焼きついている。

藤井作品は本作が初鑑賞。原作アリで脚本を監督自らやっているそうで、素人が言うのもなんだが、演出、編集など魅せ方が上手い人と感じた。ラインナップを見ると、社会派から恋愛、ホラー、アニメと、なかなか掴みどころのない人だ。

そんな藤井監督、使う俳優は逆に統一性があり、横浜流星を筆頭に、田中哲司、山中崇、松重豊、清原果耶、木野花などが複数作に出ている。Eテレ「シャキーン」という子供番組で、表情豊先生として知った山中崇の近年の活躍が目覚ましく、今回の変態っぷりも素晴らしかった。

SixTONESでは演者として松村北斗がフューチャーされることが多いが、私は森本の演技の方が好きで、電話を掛けようとするシーンは緊張感が半端なく、凄くよかったよ。そして“どんぎつね”として世の男性陣を骨抜きにした吉岡里帆は、添え物から女優への本気度を感じた。報知助演賞おめでとう。