マグルの血

正体のマグルの血のレビュー・感想・評価

正体(2024年製作の映画)
3.9
脱走した死刑囚がある目的を達成するため姿を変えながら逃げまくる話。


原作未読です。逃走犯のキャスティングを後出しで発表したことが話題になりましたね。横浜流星の底力を見た気がします。力の入った熱演に、拍手。


日本中を震え上がらせた一家4人惨殺事件の犯人として逮捕された鏑木。18歳という若さで逮捕された彼は無罪を主張したが、判決で死刑を言い渡される。
搬送中に鏑木は脱走。鏑木の決死の逃走劇が始まる。
行く先々で姿を変え名を変え生活する鏑木。出会った人々とふれあいに少しずつ人間らしい生活の喜びを見出だしていくも長くは続かず、逃走の日々に舞い戻る。
彼はなぜ警察から逃げ続けるのか。それは、鏑木が決死の覚悟で達成しなければならないある目的のためであった。


ざっくり言えば「冤罪事件」を主題としたドラマ。しかし「アンチヒーロー」のような司法や警察の暗部に触れるというより、死刑囚鏑木の人柄と、それに感化された人々の心や行動の変化を重きとするヒューマンドラマ。時折突っ込みたくなるところはありますが、感動的に作られているエンタメ性の高い作品だと思います。
原作を読んでいないので定かではないですが、この映画だけ観ると少しだけ浅いかなという印象はありました。もちろん、作品の伝えたいメッセージには体重が乗ってるのでペラペラではないです。単純に主人公鏑木の人間性のディグが時間の都合上甘かったのかなって感じです。
そのせいなのか、関わった女性二人の鏑木への態度は、所謂「顔がいいから」って反応かもと冗談半分で言いたくなってしまう。それだけ横浜流星がどんな変装してもイケメンオーラを隠せていないということなんでしょうけど。
吉岡里帆に言われてみたいぜ、「家見つかるまでうちにいなよ」って。


冤罪事件てのは過去に判例があるし、軽微なものを含めるとものすごいあるんでしょうね。と思って冤罪事件を調べるとまあ胸くそ悪いのがちょいちょいちょい。
「自分がその立場だったら」と想像するとゾッとしますが、これがまかり通らないように警察も慎重に捜査をしていると信じたいです。
本作はそこがちょっと誇張されているというか、警察幹部の判断で強引に有罪に持ってった感があまりにチャラかったのが引っ掛かってしまいます。抑止力とかね。
当事者の人生とかほっといてもやっとした状態での決めつけ、現実では行われてないといいですね。つーかこんな感じで犯罪者裁いてるとしたら世の中もっとヤバいと思うから、フィクションでももうちょい説得力持たせらんなかったのかなーってのが残念だったポイント。現実もこんなもんなのかもしれないけど、こんなもんだったらやだな。

と色々書きましたが、とりあえず主演の横浜流星の存在感が素晴らしかったです。いい演技かどうかはおいといて私は食らいました。ありがとう横浜。なんか顔キャスティングみたいなの多い印象だったから本作でとても好印象です。


2025年 12本目
マグルの血

マグルの血