マグルの血

チャッピーのマグルの血のレビュー・感想・評価

チャッピー(2015年製作の映画)
4.3
AIを搭載したロボットがヨハネスブルグのNo.1ギャングスタロボットを目指す話。


遠い昔に観た記憶があります。こんな面白い映画だったとは。監督は第9地区、オーツスタジオでお馴染み、SF界の巨匠ニール·ブロムカンプ。何気に結構豪華なキャスティング。シガニー·ウィーバーとヒュー·ジャックマンをやなやつで使ってる感じが面白い。


治安最悪の街ヨハネスブルグ。犯罪率の低下を期待した政府は、兵器メーカーテトラバール社の開発したロボット「スカウト」を投入した。スカウトの活躍により犯罪率は低下。ロボットによる治安維持にヨハネスブルグのギャング達は苛立ちを募らせていた。
スカウトの開発者であるディオンは自我を持ったAIの開発に成功。AIの高度な成長率による無限の可能性を信じるディオンは、上司にAIを搭載したスカウトのテストを上申するも却下されてしまう。どうしても諦めきれなかったディオンは廃棄予定のスカウトのボディを持ち出し独断でAIのテストを行うことを決意する。
一方、なんとしても金を手にいれたいニンジャ率いるギャングチームは、スカウトの開発者にスカウトを停止させれば犯罪し放題になると考え、インターネットでディオンの存在をつきとめて拉致する。
スカウトの停止はできないが、ディオンがスカウトを持っていたことに気づいたニンジャは、自分達の味方になるようプログラムして起動しろと脅す。ギャングに脅されたディオンは泣く泣くスカウトを起動。チャッピーと名付けられ、生まれたての赤ん坊のように怯えるスカウトであったが、ギャングの一人ヨーランディの母性やディオンの働きかけで少しずつ心を開いていく。
しかし、犯罪行為に加担させたいニンジャはギャングの生き方をチャッピーに教える。チャッピーはヨハネスブルグのあくまで環境、差別や犯罪を目の当たりにし、ギャングとしての才覚も芽生えていく。
急速に成長するチャッピーは自分の命が数日であることも知る。死を受け入れられないチャッピー。人間の欲望や愛情に巻き込まれながら、チャッピーは一つの決断をするのであった。


ニール監督がヨハネスブルグの出身ということもあり、差別や貧困に対する強いメッセージが込められているのはもちろんのこと、やはり日本のアニメやコミックからの影響と思われるSF描写の連続にニヤリとします。さらにはSF×異形×感動×王道という見事な方程式による激アツ演出も見事です。

それとニンジャとヨーランディのキャスティングは見事。ダイ·アントワードというHIPHOPユニットなんだとか。存じ上げなかったのですが、調べてみると再生回数億超えのつよつよアーティスト。勉強不足。
残忍なんだけどどこか憎めないニンジャ、チャッピーに愛情を注ぐヨーランディ。はまってました。


正直なかなかツッコミどころも多いのかもしれませんが、力業でねじ伏せる圧倒的な映像と王道ストーリーに妙な説得力のある映画。てゆーかドラえもんだこれ。
他作の評価にムラがあるのが気になりますが、ニール·プロムカンプ、気になる監督ですね。

チャッピーにあんなにボコボコにされてもギリギリ生きてるのはヒュー·ジャックマンだからかもしれない。他の役者だったら生きてると嘘臭く見えそう。

2025年 18本目
マグルの血

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