カーネル

HAPPYENDのカーネルのレビュー・感想・評価

HAPPYEND(2024年製作の映画)
4.2
坂本龍一のコンサートドキュメンタリー映画『Ryuichi Sakamoto | Opus』の監督であり、坂本龍一の息子である空音央の長編映画デビュー作品。(パンフの空監督の写真は教授そっくり)



非凡な才能をまざまざと見せつけられた。

もっと話題になってもいい作品だと思う。




乱立する高層ビルのレッドランプの明滅からパンダウン、クラブのご機嫌なタテノリのシーンに続き、明け方の街を疾走する5人の高校生。
ちょっとお洒落な青春音楽映画か?
と思いきや………


ちょっと先の近未来。主な舞台は高校。
学生の国籍が様々だったり、スキンヘッドの女の子がいたり、スカートの男の子がいたり、と今でもなくはないけどより多様性が進んでる感じ。
その一方で学生たちを監視しそれを晒すシステムや、自衛隊員が特別授業を行うのに帰化してない学生は退出させられたり、と、なかなか胸糞が悪くなる未来でもあり、それも今現在と地続きであるように思われ。
それでも〝懐かしさ〟も感じられるのはなぜなんだろう。不思議な感覚だった。

〝友情〟って何なのか。
良い年を経ても未だわからずにいるけど、今回のユウタ(栗原颯人)とコウ(日高由起刀)をみていると、考え方や生き方の違いでたとえ離れることがあったとしても、時を経て再び会えた時に笑って腹パンできる、そういう仲なんだなと思えたよ。

理不尽さや権力の横暴さに憤ったり、今の自分の事だけでなく未来の事にまで思いを馳せ、より良い社会を考え、さらに行動するという生き方。それに年齢は関係ない。
かたやなるべく楽しいことだけ考えて、社会や政治のことなんて考えない、ガキくさくてある種刹那的でもあり自分本位。そんな生き方もあっていいと思うんだ。

自分のアイデンティティを考え、前に向かう者、外に向かう者、仲間と手を取り合う者、何をすべきか考え中の者、人それぞれだけど、それを認め合う。
羨ましく眩しい。

観終わっても5人の若者たちのことがしばし頭から離れない。
いい映画体験とはこのことだなw




メモ

主演の二人とも、これがスクリーンデビュー。モデル経験者というだけのことはあってまぁカッコいい。首のヘッドフォンが似合うw


5人のうちの1人アタちゃん。
ん?と思ったらやはり林裕太!
彼の出演作は何作品か観てるけど、今作は主役じゃなくてもかなりのインパクト。
GJであります!可愛かったゾw
今作のような映画に出られるという事は、キャリア的にいってもとても良かったんじゃないかと、老婆心ながら思うw

社会的政治的な動き方をする大人感覚なフミ。それを祷キララにキャスティングしたのは、これまたGJですよね〜 今作の彼女は暗さがなく凛とした感じが良かった。g

デモに教え子を連れて行ってしまう教師岡田役が何と!中島歩〜 いい感じの大人

校長は佐野史郎でやな奴なんだけどちょっと良い人要素も感じられます。

渡辺真起子はいいとこ持ってくなw

黄色いスポーツカー(Z)がまるでモノリスのようで、超カッコ良かった!
カーネル

カーネル