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チャンスの一のレビュー・感想・評価

チャンス(1979年製作の映画)
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ポピュリズムや反知性主義の風刺かと思えば、主人公のチャンスは最後池の上を歩いてどこかに行ってしまい、ピーター・セラーズのふざけたNGシーンで終わるという、政治的で神秘的なつかみどころのない不思議な映画だった。でも、ハル・アシュビーのマスターピースであるには違いない。トランプ時代ならそれは尚のことで、僕の生涯ベストの一本『ハロルドとモード』や『さらば冬のかもめ』『帰郷』だけでなく、この『チャンス』があってのここ最近のハル・アシュビー再評価ムードなんだろう。白人たちがセラーズの簡素な言葉に勝手な解釈を加えわっしょいわっしょいしていく中で、真実を知っているのは黒人の元メイドだけというのも含蓄ありすぎ。
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