死出のエレベーターが降りていく。下に向かえば向かうほど、人間の業は暴かれ、地獄絵図はより苛烈な表現をもって描かれる。そこに入ってしまったが最後、もう帰りの切符はどこにも見つからない。どう生き延びるか、どうしたら迫り来る恐怖を回避できるのか。分からない。恐らくこの物語には解はない。それこそがメッセージであるかのように。
あのスペイン産シチュエーションスリラー『プラットフォーム』にまさかの続編が登場。Netflixから配信された本作は、前作から繋がっていないようで繋がっており、分かりづらくも同列の時系列に位置している。相変わらず社会の縮図と化した修羅の世界が炸裂しており、強烈なグロ描写も健在。果たして製作される必要はあったのか?という問いはさておき、同じシチュエーションでどんな展開を見せるのか、という続編もの特有のワクワク感を楽しんでほしいと思う。
〜あらすじ〜
そこには穴に放り込まれた新人二人がいた。一人は女性のプレンプアン、もう一人は巨漢の太った男ザミアティンだった。穴に放り込まれた者たちは一つだけ持ち物を持ち込むことが許されており、プレンプアンはカミソリ、ザミアティンはライターを持ち込んでいた。二人のいる部屋には24の文字があり、そこは穴の24層に位置する場所だった。
そうこうしているうちに二人の元に食べ物が乗せられた台が落ちてきた。そこにはプレンプアンがリクエストしたコロッケは乗っていたが、ザミアティンがリクエストしたピザは何者かに食べられた後だった。そのため他のものを食べようとしたザミアティンだが、上の層にいるロベスピエールと名乗る男から、自分のリクエストしたもの以外食べてはならないと厳しく言い渡される。そうしないと下の層の人々に食べ物が行き渡らなくなると。じゃあ、何故、自分の分はないのかと憤るザミアティン。ロベスピエールはルールに従わないバーバリアンには、ルールを司る者たちによる罰が課せられると言い・・。
〜見どころと感想〜
ハッキリ言って前作以上に意味不明な続編である。メタファーとして描かれているのは資本主義社会が生み出した格差社会の縮図であり、その構造に変わりはない。では何故、今作が作られたのか?という問いを推察すると、前作で残された謎に対する答え合わせのような作品なのではないかと思う。つまり1と2を鑑賞することによって『プラットフォーム』は完成する。そんな互換性を滲ませる続編となっている。
主演のミレナ・スミットはペドロ・アルモドバル監督の『パラレル・マザーズ』にも出演する俳優で、スペイン圏では主演格のようである。他にもハリポタシリーズのニンファドーラ・トンクス役でも知られるナタリア・テナも出演。更には前作のキャストがこちらにもキャスティングされている点にも注目だ。どの人物がどのように絡んでくるのか。前作でインパクト抜群だったキャラクターの再登場で、今作の位置付けがある程度は鮮明になるはずだ。
前作でも何故この人はこの行動を取っているのか?という謎は多かった。そのあたりの伏線が本作であり、前作はその回収版ということになる。なので、前作の登場人物の顔と名前をある程度覚えていないと、ただでさえ意味不明な今作が更にワケのわからないものに思えるはずだ。そういう意味では恐らく前作より行動原理に矛盾は少ない。とはいえ、やはり残された謎はまだ多く、答案用紙の答え合わせはまだ全部終わっていない。相変わらずモヤモヤは残る作品なのであった。
〜あとがき〜
まさかの『プラットフォーム』の続編がNetflixから登場!そもそも『プラットフォーム』がそんなに面白いとは思わなかったのですが、やはりこの手のシチュエーションスリラーは、続編の評判がイマイチだとしても観たくなってしまうものですね。
結果として、意外と面白く観れたというのが率直な感想です。『プラットフォーム』の世界観と意味不明さに慣れていたのが大きかったかなと思いました。あくまでこの作品は前作と対の作品。この後に前作を見直すと一度観た時よりも面白く感じるかも?もう一回観たい作品かというと微妙ではあるけれど・・笑