カツマさんの映画レビュー・感想・評価

カツマ

カツマ

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

4.5

星空が記憶の果てでリンクした。それはきっと哀しみに満ちた想い出。忘れたくない気持ちと共にそこにある。大陸を遡り、見知らぬ土地で新しい誰かと出会い、記憶の残滓を追いかけながら、彼女は気持ちのどこかの戸を>>続きを読む

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

3.8

確かに神と悪魔はそこにいた。人の心に巣食う幻。それに打ち勝てるかどうか、エクソシストは壮絶な闘いの果てに自身の闇と対峙する。地下の底に蠢くのは何?悪魔の本当の目的とは何なのか?祈りこそが最大の武器。今>>続きを読む

ヴィレッジ(2023年製作の映画)

3.7

それは全て夢だった。目が覚めることのない夢。覚めてほしくはない夢。もし覚めたとしたら、きっと何かが終わってしまう。それが分かっていたからこそ、絶望は淵からぬるりと巨体を濡らした。穴の奥から音がする。壊>>続きを読む

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.5

物語はすでに描かれた後だった。それを捻じ曲げようとすればするほど、全ては制御不能の迷宮へと変貌していく。でもだからといって、それは不可能なことなのか?決められた物語に沿うことが、本当に正しいことなのか>>続きを読む

黄龍の村(2021年製作の映画)

4.2

チャラいカップルたちがひどい目に遭う。序盤のチャラチャラしたやり取りを忘れてしまえるほど、とにかくひどい目に遭う。それしか言えない。逃げ惑うチャラ像たち。いきなり殺されるし、モブのように撃たれるし、ヤ>>続きを読む

マーベルズ(2023年製作の映画)

4.0

最強の戦士に集う最強のチームことマーベルズがここに爆誕!キャプテン・マーベル、ミズ・マーベル、そして、モニカ・ランボーで結成された最強のトリオが、今、大空を舞うように宇宙を駆ける。長い長い旅のように混>>続きを読む

ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男(2023年製作の映画)

4.2

人類の歴史にはいつだってスポットライトを浴びる偉人がいて、英雄がいる。その歴史上の人物の大きな影の中には無数の人々がいて、影の下からたった一人の英雄を押し上げている。このバイヤード・ラスティンという人>>続きを読む

REBEL MOON ー パート1: 炎の子(2023年製作の映画)

3.9

侵略者がやってくる。平和は遥か遠くに打ち捨てられ、死ぬように平伏するか、生きるために闘うのかの選択を迫られる。彼女たちは後者を選んだ。仲間たちを集め、故郷の村を守るため、反逆者という名の英雄となるため>>続きを読む

ヴィーガンズ・ハム(2021年製作の映画)

4.0

ブラックコメディにしてはあまりにも黒過ぎる。ドロドロのドス黒さ、深さなどどうでもよくなるほどの深い沼地が広がっている。にも関わらず、何故この作品はこんなにも軽やかにステップを踏んでしまうのか。いつの間>>続きを読む

バッドランド・ハンターズ(2024年製作の映画)

4.2

最強マブリーvsマッドサイエンティストが世界の終わりの果てに大激突!荒廃する大地に悪人たちが跋扈する中、最強のハンター、マブリーとその仲間たちがマンションを根城とする悪の組織をぶっ潰す。正にシンプル・>>続きを読む

伯爵(2023年製作の映画)

3.9

燻んだ色に溶け込むように彼はいる。闇の奥から這い出るように、表舞台でその名を残し、独裁者の服を纏って飛んでいる。舞い降りた先に転がり出るのは死体の山々、血飛沫の池。醜き財産争奪戦の果てで、ギロチンの刃>>続きを読む

見えざる手のある風景(2023年製作の映画)

4.3

いつの間にか変わってしまった。世界も生活も、人類の価値そのものさえも。突然、宇宙人がやってきて、あなた達に必要なものをあげましょうと大手を振って搾取する。だが、これらはどこかで見たことのある風景だ。悲>>続きを読む

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

4.8

もしオスカーにアクション部門またはスタンド部門があったなら、間違いなく本作はノミネートしていたことだろう。そして、恐らく高確率で万感の拍手に迎えられ受賞していたことだろう。それほどに今作に詰め込まれた>>続きを読む

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

4.6

いつだって記憶の中に君はいる。幸せだった時間は過去になり、縋り付くような残骸だけがそこに残った。どうしても、もう一度愛する人に出会いたい。例え、哀しみの末路が待っているだけだとしても。戦火は広がり、悲>>続きを読む

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

4.2

ロールプレイングゲームって何故、こんなにもエンタメ性が高いのだろう?仲間たちを集めて、力を合わせて戦って、ダンジョンを攻略し、強過ぎるラスボスをボロボロになりながらも撃ち倒す。それはもはや様式美の世界>>続きを読む

哭悲/The Sadness(2021年製作の映画)

3.6

かの名作漫画『幽遊白書』のキャラクター、仙水忍は人間たちのあまりにも醜い行為を見てこう言った。『そこに人間は一人もいなかった』と。そう、ここで描かれているのはもはや人間ではない。人間とは呼べない。何か>>続きを読む

ザ・キラー(2023年製作の映画)

4.0

お気に入りはザ・スミス。モリッシーの歌声は自分に釘を打ち込むような歌詞を綴り、ジョニーマーのギタメロはそこに淡い花を添えるように繊細だ。でもそれは殺しのBGMには似合わない。ずっとずっと流れ続ける。た>>続きを読む

雪山の絆(2023年製作の映画)

4.4

何故、生きるのか。生きようと願うのか。その時、美しい絶景は絶望の淵へと変わった。助けは来ない。食べ物もない。仲間たちは一人また一人と死んでいく。残された者たちは生きるため、生き抜くためだけに全ての選択>>続きを読む

MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022年製作の映画)

4.3

それが幸福な一週間ならどんなに良かっただろう?だが、残念ながらループするのは激務に追われる一週間。夢のように目覚めては現実のように月曜日の朝を迎える。何故だろう、終わらない。どういうわけか終わらない。>>続きを読む

マエストロ:その音楽と愛と(2023年製作の映画)

4.3

一人ではその音楽は鳴らせなかった。人生という名の協奏曲。二人だからこそ鳴らせた長い長いモノクロのダンス。二人は当たり前のように惹かれ合い、お互いの才能を認め合い、そして、どこにでもある夫婦のように苦し>>続きを読む

Saltburn(2023年製作の映画)

4.4

それは果たして愛だったのか?それとも狂気のような執着か。暴走する感情の発露、ヌメヌメと湿り気を帯びた欲情の残骸。あまりにも豪華絢爛な屋敷の中で、小さな蛾は飛び回り、美しい灯りに近づいてはバチバチと不快>>続きを読む

終わらない週末(2023年製作の映画)

3.9

何かが終わろうとしている。それはヒタヒタと忍び寄り、気づいたときには最後、もう世界は取り返しのつかないところへと辿り着いてしまっていた。これは永遠に終わらない週末か、それとも永遠のような終わりを告げる>>続きを読む

スクリーム6(2023年製作の映画)

4.0

叫びの夜がやってくる。その電話に出てしまったら最後、もう殺意の刃から逃れることなど出来やしない。奴はどこだ?犯人は誰?真相は過去のシリーズの中に眠っているのか?絶対に犯人は近くにいる。法則が分かってい>>続きを読む

エル プラネタ(2021年製作の映画)

3.9

炸裂するアートの連打。それは淡々と日々を描き、モノクロの絵に色彩のような色を塗る。歩くだけで絵になるけれど、その背景には物言わぬメッセージが見え隠れするかのよう。画面は分割されて戻ってきては、また新し>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

4.2

タクトを振る、彼女は自由自在に音楽を操れる。音楽と同様に、彼女はコンダクターとして完璧に人生を、他人を、コントロールしていた、はずだった。が、それは幻想。指揮するオーケストラが乱れ始める。何故なのか、>>続きを読む

ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)

3.7

奴らがやって来る。何故かは知らない。理由は分からない。だが、奴らは確信するかのように詰問する。誰か一人が犠牲にならなくては世界は滅びるのだと。そんなはずはない。それは分かっている。それでもその言葉は不>>続きを読む

愛しのタチアナ(1994年製作の映画)

4.3

自分は短い映画が好きだ。丁寧な説明などもちろんなくて、突然始まって突然終わってしまうような映画が好きだ。カウリスマキはいつだってそんな映画を撮ってきた。普通の人々が普通ではない出来事に出会ってしまって>>続きを読む

特捜部Q 知りすぎたマルコ(2021年製作の映画)

3.7

暗鬱に煙は漂う。まるで事件を求めることで自我を保っているかのように。ボロボロになったカールは、まるで崖から這いずり上がるための手段とするかのように凶悪事件の真相に迫る。二転三転する巨悪の所在。その上塗>>続きを読む

リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

3.9

ただ何事もなく漂っている。何もない土地で生まれた、どうしようもなく空虚な生活と共に。何となく旅に出た。全てを捨てて、何もない場所から飛び出してみたくて。でも、飛び出した場所も雑草ばかり。退屈なまま、車>>続きを読む

search/#サーチ2(2023年製作の映画)

4.4

母が帰ってこない。いつも煩わしくて、うるさくて、siriばかり使っている母が、突然、煙のように消えてしまった。娘は母を必死になって探すけれど、ネットの中にあるのは蜘蛛の巣のように張り巡らされた混沌のみ>>続きを読む

ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

4.0

人生は甘くない。寝る場所もないし、車も壊れるし、愛犬はどこかに行ってしまって帰ってこない。お金は足りないし、仕事にも付けないし、アラスカに行ってどうなるのかも分からない。まるで最悪なことばかりだ。でも>>続きを読む

パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)

4.2

これはシンプルに言うとラブストーリーである。しかも、普通に見えるラブストーリーである。あまりにもありふれた男女による、どこにでもあるように見えるラブストーリーである。だけど、この物語はとてもドラマチッ>>続きを読む

マーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーション:ウェアウルフ・バイ・ナイト(2022年製作の映画)

4.0

真紅の夜が幕を開ける。定めの如く儀式の影で、血で血を洗うサバイバルがハンター達を待ち受ける。怪しく光るブラッドストーンを手にできるのはたった一人。そう、生き残れるのも最後に残った一人のみ。敵も味方もな>>続きを読む

処刑山 ナチゾンビVSソビエトゾンビ(2014年製作の映画)

4.4

ついに勃発するゾンビ戦争!恐怖の軍隊ナチスゾンビに対するは、復讐に燃える眠れる死者ソビエトゾンビ!ゾンビの親玉となった哀しみの戦士は当の昔に一線を越え、血みどろの戦場の先陣をグシャグシャになるまで突き>>続きを読む

名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊(2023年製作の映画)

4.2

闇夜に潜む暗躍者。亡霊たちは啼き叫び、灰色の脳細胞を狂わせる。名探偵はもういない。死から追いかけられる日々は終わった、はずなのに。彼が謎を解くのは、もはや運命的なものなのか。美しきベネチアに咲く燻んだ>>続きを読む

アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド(2021年製作の映画)

4.0

これはありふれたラブストーリーではない。ロマンチックかもしれないが、一筋縄ではいかない。人生は、孤独とは、そんな簡単なものではないと滔々と問うかのように。恋愛は驚くほどに複雑で、感情は迷路のように絡み>>続きを読む

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