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午後の遺言状のinukoのレビュー・感想・評価

午後の遺言状(1995年製作の映画)
3.6
公開当時観損ねてから実に25年、やっと鑑賞。
乙羽信子さんが好きだったけど、公開時は既に亡くなっていたんだよなあ。
杉村春子本人をモデルにしたような老女優の、避暑地での出来事。乙羽信子はその別荘の管理人。昔の芝居仲間の夫婦が訪ねて来たり、強盗に入られたり、いろいろ事件が起こる中、過去と現在、老いと若さ、生と死が交錯し、揺れ動く老女優の心情が描かれていく。
白黒だったころの日本映画の文法で構成されている気がした。都会を離れた避暑地での、自然の鮮やかさが、映像的に際立ってはいるけれど。
杉村春子が老いてはいるけど(90 歳くらい)、えらいバイタリティがあり、乙羽信子はどこか死の影を背負って見える。今観ると、だいぶ若くして亡くなったんだなと思う。
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