ダルマパワー

CURE キュアのダルマパワーのネタバレレビュー・内容・結末

CURE キュア(1997年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

萩原聖人の息を吐くような語り、役所広司の、『渇き』に繋がるヒステリックな表情と乱暴さが、世界観をつくりあげる。どこまでが現実で、どこまでが幻覚か。後半になるほど曖昧さが増し、混乱の中に引き込まれた。ラストシーンで不意に現れた刃はあまりに唐突で、頭のなかで瞬時に物語を逆再生したが、いくら点と点を繋ぎあわせても、解が見えてこない。

多くを語らない作品。わかったようで、わかっていない。物語のキーになる謎。作中に埋め込まれたヒントが、観る人に、真相に近づく感覚を徐々に植え付けて釘付けにさせる。顔の皮膚をはぐなど、強烈な描写が好奇心を一層くすぐる。

憎らしきは、ラストシーン。物語の終わりを予感させた矢先。一気にまた迷路の中に引き戻される。

映画的な粗っぽさと中毒性を感じた。

ワンカットワンカットが長く、テンポ感よりも、シーンの空気感、緊張感を伝えるような映像だった。カメラは極端な位置からのカットは少なく、どちらかといえば人の視線に近く、中立的な印象を受けた。
ダルマパワー

ダルマパワー