「この人たちどうかしてる」
「オオカミの家」「骨」のクリストバル・レオン&ホアキン・コシーニャ監督コンビの新作
それだけで見に行くと決めてました
どーせ訳分からないんだろ?と思っていたら、やっぱり訳分からない映画でした
「オオカミ〜」が100%ストップモーションアニメだったのに対して、こちらは実写とアニメのハイブリッド作品です
「オオカミ〜」が制作期間3年の予定が5年もかかってしまい、新作は実写も入れてもっと短期間で撮ろうということになったようです
「オオカミ〜」がコロニア・ディグニダという明確なコンセプトがあって、比較的分かりやすかったのに対してこちらは???の連続でした
客席2/3は埋まっていたけど、一体何%の方が理解できたのだろう
ストーリーはこんな感じです
女優アント(アントーニア・ギーセンさん)が主演した映画のネガが何者かによって盗まれる
記憶を頼りに再度撮り直すことに
彼女は臨床心理学者でもあり、謎の幻聴に悩まされるヘビメタ風の患者、メタルヘッド(麻原彰晃似)の診察をする
監督のレオン&コシーニャに相談すると、その幻聴は実在するチリの外交官で作家であるミゲル・セラーノの言葉であることに気付く
彼らはアントを主演に、ミゲル・セラーノに迫る映画を撮ることにする
メタルヘッドがパソコンのExcelでゲーム中に秘密のコマンドを打ち込むとゲームの世界に引きずり込まれて行く・・・
これねー、チリの歴史や政治、文化に詳しくないと分からないと思うんだよね
誰よ、ミゲル・セラーノって!?
調べました
作家で、外交官で、その頃はヘルマン・ヘッセやユングと交友があったらしい
そして熱烈なナチス・ドイツの信奉者で、実はヒトラーは死んでなく、南極大陸の地下に逃げ隠れて生き延びてると信じており、その探索も行っているそうです
これはヒトラーの映画なのか!?
他にもアウグス・ピノチェト軍事政権で顧問だったハメイ・グスマンという政治家も出て来ます
映像はアートでシュールでグロテスク
子供が見たら泣きます
例えばレオン&コシーニャ監督が登場するシーンは頭部はリアルで胴体が木枠のイーゼルスタンドみたいになっていて、操り人形のように釣られて動きます
実写だと思ったら、次の画面では人形やアニメになったり目まぐるしく変わります
ハイパーボリア人はギリシャ神話やH.P.ラヴクラフトらの創作による“クトゥルフ神話”に登場する架空の民族です
UFOに乗ってやって来た半神の巨人!?
インブンチェという民話や神話に出て来る怪物の話が出て来ます
頭が後方にねじれ、腕、指、鼻、口、耳もねじれていて、片方の足が首から生えていて、歩くときは両手と残った一本の足を使うそうです
時々アントの両親が出て来ます
2人とも病で伏せっていて、その姿はグロテスクな人形です
身体は人間の女で頭は鹿のアラセリというアバターだけはちょっとだけ可愛かったかな笑
レオン&コシーニャ監督はもう長編2作目にして凡人には手の届かない高みにのぼり詰めてしまったようです
手作り感満載で、きっとこういうのは作ってて楽しいんだろうなぁ
内容は理解できなくても、アート性が高いので、見ていて全く飽きないし、私は嫌いでないです
変な映画を見たい、という方がいたら迷わずオススメします
監督のインタビュー記事によると、脚本があまりにも込み入って複雑過ぎたので、急きょ書き直して2つに分けたとのこと
という訳で、引き続きアントーニア・ギーセンさん主演で「La Plage(ペスト)」という映画と、それとは別に長編アニメーション「Hansel & Gretel(ヘンゼルとグレーテル)」の公開も控えてるそうなのでそちらも楽しみです多分