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アポロ13号: 極限からの生還のKANAのレビュー・感想・評価

3.8

"successful failure"(栄光ある失敗)と称えられることになった、アポロ13号の顛末を描いたドキュメンタリー。

実際の映像がこんなに残ってたなんて!

打ち上げが成功し、夢への高揚感。

地球から32㎞、月まで2/3の位置にて
"Houston, we have a problem."
この一言から一気に立ち込める暗雲。

飛行開始から55時間54分後、電気系統の不具合により、爆発を起こした。

NASA管制センターに漂う、ただならぬ緊迫感。
精鋭管制官たちの焦りと理性のせめぎ合い!
水、酸素、電力が不足し、極寒のアクエリアス(2人乗り)で3人は4日間耐えうるか?帰還できる可能性は?

すべてホンモノなんだと思うとなおさら没入した。(管制室フェチでもあるし)

そして野口聡一さんが言ってたように、映画『アポロ13』(1995)がいかに再現性が高いかがよくわかる!

トム・ハンクスは確かにジム・ラヴェルを忠実に演じてたんだ。ミッションだけでなく人となりも。
フライト・ディレクター(管制官たちのまとめ役)のジーン・クランツはエド・ハリスが演じたからこそのオーラかと思いきや、ご本人がしっかりカッコいい。白ベストも短い煙草も素敵。

降り立つことを諦めた月を周回する際、その陰に入った時に訪れる暗闇で映る画面いっぱいの無数の星の美しさ!
言葉を失う。

ラヴェルの妻マリリンのその都度その都度のインタビューや家での家族の様子などの記録もとても貴重だと思う。
二男二女を抱え、極限状態に陥った夫が心配で帰還までの4日間は生きた心地がしなかったと…

計4回の宇宙飛行を行ったジム・ラヴェルはこれを書いている2024年9月現在健在であり、彼を地球で見守り続けたマリリンは昨年亡くなったそう。

「宇宙から地球を見た時
いかに恵まれているかを実感した
真っ暗闇の中にぶら下がる青と白の飾り玉だ
街など見えない
国境も見えない
本当の地球の姿が見える
広大な宇宙に浮かぶ、最高のオアシスだ」

地球の映像をバックにこのラヴェルのナレーションの後、マリリンに献辞が述べられているところに、彼の地球と家族への深い慈しみが感じられた。
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